トルコのエルドアン大統領が大代表団を共なって、北キプロスを訪問した。これには6人の閣僚が同行し、そのなかには国防相や外相も含まれていた。加えて、与党AKPと関係の良好な、MHPのバフチェリ党首も、同行していた。
一体この代表団の北キプロス訪問、何を狙ったものであろうか。トルコ政府は北キプロスが、キプロスから分離独立した、37年記念行事参加、という説明だ。だがそれだけではあるまい。エルドアン大統領はトルコの国益を意識しての、訪問であったと思われる。
だが、いまだに世界で北キプロスを、独立国と認めている国は、トルコ以外には存在しないのだ。従って、北キプロスは係争地であり、独立国家とは見なされていないのだ。トルコだけがトルコ系住民の独立を、支持しているということだ。
彼はキプロスが二つの国家に、明確に分かれることは、双方にとってプラスだ、と語っている。そして、それは充分に討議され、平等な結論に達するべきだ、とも語っている。
エルドアン大統領は2004年から2017年の間に、行なわれた交渉では、キプロス政府が何の解決策も示さなかった、と不満を述べている。トルコ政府に対して、仲介役である事を無視し、北トルコ政府にも外交権を、無視し続けてきた、と述べている。
その事から、ヨーロッパ諸国はキプロス政府を、支援すべきではないとし、我々が望んでいるのは、東地中海問題を討議することであり、その討議には北キプロス政府も、加わることだと語った。まさにこのことが、今回の訪問の主題であろう。
北キプロスの首都バローシャについては、誰によっても、誰の所有も尊重され、問題解決に向かうべきだと述べている。
つまり、今回の大掛かりなトルコ代表団の、北キプロス訪問は、北キプロスの独立を世界的に認めさせる目的であり、同時に東地中海の領有権交渉への、ステップを構築することだったということだ。
北キプロスを巻き込み、この国を正式な国家とすれば、トルコは北キプロスと一帯になって、領海を主張することができるようになるからだ。