『ナゴルノカラバフ停戦後はどうなるトルコは』

2020年11月11日

 アゼルバイジャンとアルメニアとの間で戦われてき、た9月以来の紛争がロシアの仲介で、停戦の運びとなった。それは大いに歓迎できることだが、トルコの動きが気にかかる。トルコは今回の停戦後どのように、この問題に関わることが出来るのか、ということだ。

 トルコ政府はロシアとの話し合いにより、停戦監視団参加の意向を語っているが、ロシアはそのようなことは、話し合われていないし、アゼルバイジャンもアルメニアもトルコの停戦監視団参加を、認めてはいないとにべもない。

 他方、ロシア軍はと言えば、ナゴルノカラバフの国境地帯と通路を守る方針だ。そのためにロシア政府は、既に1960人の兵士を武器一切と共に、送り込んでいる。

 エルドアン大統領はなんとしても、この停戦監視団に参加したいようだが、合意が無い以上、無理なのではないか。ロシア側はトルコ軍が停戦監視に、参加するような準備はできていないし、合意も無いと語っている。

 つまり、トルコは紛争が始まる前の段階から、アゼルバイジャンと合同軍事訓練をしていたが、この段階で何の役割りも無い、と言われたということだ。そもそも、アゼルバイジャンとアルメニアは、元はソ連領の一部、部外者の出る幕では無い、と言いたいのであろう。

 トルコはシリアでも結果的には、何も得ること無く撤退しそうだし、リビアでもモロッコの停戦会議には呼ばれず、リビア問題解決のプロセスから外されている。これではトルコの立場が無いだろう。

 エルドアン大統領の強引なやり方は、何処からも非難を受けているのだ。ギリシャとの問題ではフランスなどがギリシャ側に回り、これにEUが付いて、そのため東地中海海域の、海底エネルギー資源問題では、トルコは次第に弱腰の対応となっている。

 弱り目の祟り目とはこういうことであろうか、義理の息子ベラとは草々にエルドアン体制から、抜けることを決めているようだ。エルドアン体制は内部崩壊が始まっているのだ。アメリカのバイデン優位のなかでは、ますます対米交渉の糸は細くなろう。