『ベラト蔵相の辞任の裏は何が』

2020年11月10日

 トルコのベラト蔵相が辞任し、エルドアン大統領がそれを正式に受け入れ、彼を首にした。問題はベラト蔵相がエルドアン大統領の義理の息子であり、エルドアン大統領の娘の婿だという点だ。

 これで分かる通り、現在のエルドアン体制は、多くの高官のポストを、彼の家族や親族で固めているという点だ。ベラトも中央銀行総裁を、彼の友人ムラト・ウイセルを就任させていたのだが、エルドアン大統領によって、彼も首になっている。

 ベラトの兄弟のセルハトは、トルコ全紙のコントロールを担当し、政府に批判的な新聞は、発禁にしてきている。また、セルハトは広告の95パーセントを、支配していたというのだから、相当な実入りがある、ということであろう。

 ムラト・ウイセルはベラトの友人であり、彼が最後の友だろうといわれている。その人物が首になったのだから、少なからぬショックをベラトに、与えたものと思われる。

エルドアン大統領の実子長男のビラールは、建設部門を担当しているが、これもまた大変な利権であろう。

 しかし、こうして政府内部を、エルドアン大統領の支持者で固めていても、トルコ経済の悪化で相当苦しい立場に、追い込まれていそうだ。そればかりか、コロナの蔓延の問題などもあり、エルドアン体制は揺らぎ始めていることは事実だ。

 今回のベラト蔵相の辞任は、火事の船から下りたネズミと同じなのか、あるいはエルドアン大統領の感で、ベラトを危険人物と判断して、切ったのかまだ分からない。もし、今後ベラト人脈が、次々と首になるようであれば、ベラトは切られたということであろう。

いずれにしろ、エルドアン体制はいま内部問題で、苦しい状態に直面しているということだ。まさに彼が建築したエルドアン城が、内部で大火事を越しつつある、ということではないのか。