エルドアン大統領の義理息子のベラト・アルバイラクが、蔵相の座から辞任する、と発表した。辞任理由は5年ほどの長きに渡る財相職が、彼の健康を蝕んだからだということだ。しかし、そうであろうか彼は現在42歳と若いのだ。エルドアン大統領に比べれば幾らでも、頑張れる年齢であろう。
ベラト・アルバイラクの辞任の前には、内相のスレイマン・ソユルが辞任する、と言い出していた。しかし、この辞任希望は、エルドアン大統領によって退けられ、彼は現職に留まっている。
ベラト・アルバイラクの辞任の前には、中央銀行の総裁が首になっており、その理由はトルコ・リラの急激な下落だった。誰が見ても現在のトルコ経済は惨憺たる状況であり、快復は困難を極めよう。
トルコ・リラは今年だけで、30パーセントも下げているのだ。2019年の8月からではトルコ・リラは70パーセントも、下げているということだ。私企業は外貨で約4670億ドル借りていた。効果がないリラ防衛で、約650億ドルの外貨準備を失った後、2020年9月時点の中央銀行外貨準備高は、360億ドルかそれ以下だ。加えて、金準備金が420億ドルに減少している。
9月には格付け機関ムーディーは、トルコ政府債務に対する格付けを、既に「ジャンク」だったが、B2に下げ、これまでの最低記録となっている。今後の見通しについては相当厳しいものがあり、来月は山場だというのが、大方の経済専門家の意見だ。
ベラト・アルバイラクの辞任は、火事の船から逃げ出す、鼠のようなものであろうか。その前の内相の辞任希望も、エルドアン大統領によって止められているが、これも相当な内部情報を、持っていたからではないのか。