『リビアGNAのセラジ首相辞任取り止め』

2020年11月 1日

 

 リビアの西側政府GNAのセラジ首相が、辞任を取り止めた、と言い出している。これは先に彼が行なった、辞任希望発言を否定する、ということだ。何故セラジ首相はこの時期に、辞任を言い出しのであり、それを今度は撤回する、と言ったのであろうか。

 もともと商売人のセラジ首相は、多分、案外高潔な人物で、あったのであろう。しかるべき教養もあり、首相に適任と国連が認め、彼が首相になるよう、傀儡の首相として、仕向けたのであろう。

 彼が就任した後トルコが接近し、軍事的に支えるので、リビアを完全支配しろ、と迫ったもののようだ。確かに、トルコは軍を送り、武器を与え、傭兵まで送り込みGNA側を支援した。その結果、一時期まではGNAが、LNAよりも優位に立っていた。

 だが時間が経過するに連れて、GNA側は支持国を減らして行き、いまでは実質トルコだけと、なってしまったようだ、対するLNA側は、エジプトを始めアラブ首長国連邦や、ロシア、サウジアラビアなどから、広い支持を得ている。

 この結果、戦線でも次第に追い込まれ、GNA側が政治的にも、追い込まれる状態になっている。その先に見えてくるのは、カダフィ大佐の最後の時のように、首相虐殺なのかもしれない。それでセラジ首相は首相の座を離れる、と言い出したのであろう。

 トルコとの交渉では、強圧的なエルドアン大統領が、セラジ首相をまるで部下か、小間使いのように怒鳴りまくって、従わせているのではないのか。これではセラジ首相には、全くうまみはあるまい。

しかも、リビアの収入源である石油は、実はLNA側が支配していて、GNA側はおこぼれを貰っているに過ぎない。石油に関する主導権は、完全にハフタル将軍側が握っているのだ。

従って、リビアの石油を目当てに、接近してくる外国は、皆ハフタル将軍側に付いてしまう、ということだ。結果的に資金難のGNAは、トルコに対して武器代金などで、巨額の借金を背負い込むことにも、なっていよう。

モロッコで開催されたGNALNAとの会議で、平和的な停戦に向けて、合意が生まれたが、この会議にはトルコは参加出来なかっ模様だ。そのためトルコは半分リビアでのギャンブルを、捨てているのではないだろうか。

トルコが抜けてしまえば、GNA側は自分の身を守る、何物も無くなるということだ。今回セラジ首相がその座に、留まるように説得されたのは、あくまでも和平交渉を進め、リビア問題を解決するための、役者としての人物が、必要だったからであろう。

所詮、セラジ首相は政治に強い関心を、抱いていて就任したわけではない。周りからおだてられて、なったに過ぎない人物だ。いまさら首相職から降りても、何の安全の保証も無いということで、再度引き受けることに、させられたのであろう。