『イランがナゴルノカラバフ紛争で怒り』

2020年10月26日

 アゼルバイジャンとアルメニアとの間で、戦われているナゴルノカラバフ紛争は、イランにも大きなな影響が出ていることから、イランの将軍が遂に我慢がしきれなくなり、厳しい警告を発した。

 ムハンマド・パクプール将軍は、イランの北西部国境地帯が、危険にさらされていると語り、地域のイラン人が危険にさらされるようであれば、しかるべき対応をすると語った。それは当然のことであろうが、アゼルバイジャンとアルメニアにとっては、面倒なことになったということだ。

 加えて、ムハンマド・パクプール将軍は、国境地域はイランにとって、地政学的に重要であり、レッド・ラインとなっている。従って国境地帯の防衛力は、強化すると述べている。国境の安全と国民の安全を守ることは、レッド・ラインだというのだ。

 アゼルバイジャンとアルメニアとの紛争では、既に、双方で1000人以上の軍人と、市民が犠牲になっている。この犠牲者数は1992年に起った紛争以来の、大規模なものとなっている。もし、国境越えで軍事行動が起これば、イラン側にも大きな被害が、出るということだ。

 確かに、イランにしてみればアゼルバイジャンとアルメニアとの紛争は、他人事ではあるまい。既に何度か国境地域で砲弾などが、イラン領土内に落ちているようだ。もちろん、それはイランを狙ったものではなく、アゼルバイジャンとアルメニアとの間で、交わされた交戦の結果であろう。

 こうした動きは、イランを神経質にさせ、次第にアゼルバイジャンとアルメニアとの、紛争に関与していくのではないか。イランには25パーセントの人口が、アゼルバイジャン人なのであり、他国の戦争とは言いきれないのだ。

戦況の進展具合によっては、イラン国内でアゼルバイジャン人たちが,反アルメニア・デモを起こしたり、義勇兵としてアゼバイジャンに行くこともあろう。そうなれば、イランは完全にこの戦争に、巻き込まれることになるのだ。

この場合懸念されることは、アルメニアがキリスト教国家であり、欧米やロシアの支援を直接間接受けることになり、その場合はイランがイスラム過激派の国と、欧米やロシアから認識されており、過剰な反応を生み出す、危険性があろう。

同時に、アゼルバイジャンを支援している、トルコとも難しい関係になっていくのではないか、ということが予想される。イランがアゼルバイジャンと、アルメニアとの紛争を、どう回避するかが問われるところであろう。