トルコのエルドアン大統領はカナダのトルドー首相に対して、ドロ-ン技術を渡せと強硬に迫っている。エルドアン大統領に言わせると、カナダとトルコはNATOの加盟国であり、武器テクノロジーについて、協力する義務があるということのようだ。
このことについては、トルコの外相も抗議しており、カナダの対応はダブル・スタンダードだということになる。しかし、カナダの側に言わせると、トルコはカナダが提供した技術で、ドローンの性能を上げ、そのドローンを現在戦争中の、アゼルバイジャンに輸出しているのだ。
トルコは今年アゼルバイジャンに対し、合計で7700万ドルの武器を、輸出しているということのようだ。ドローン以外の武器も、相当売り込まれているようであり、これはアゼルバイジャンとアルメニアとの戦争に、直接的に大きな影響を、与えうるものであろうと思われる。
そのドローンのテクノロジーとは、標的を狙うためのものであり、ドローンの破壊力を大幅に上げよう。それを製造したのはカナダの、L3ハリス社だということのようだ。トルコは以前から武器輸出を拡大し、国家の財政を豊かにしよう、と考えてきている。
その典型が、ロシアからのS400の輸入であろう。これはアメリカのパトリオットと競ったのだが、エルドアン大統領はロシアとアメリカに対し、技術を教えるよう要求し、同時にアメリカにはトルコ国内でのパトリオット生産許可を迫った。
しかし、アメリカはこのエルドアン大統領の、要求を拒否したために、パトリオット取引の話は流れ、ロシアのS400輸入へと繋がったのだ。ロシアは技術の提供も、トルコ国内でのS400の製造も、認めると言ったからだ。
ロシアにしてみれば、S400ミサイルは性能が優れており、トルコのような危険な国家に売れば、すぐにでも試し撃ちをするであろう。それはS400の性能を、世界に宣伝できると考えたのであろうか。
事実、トルコがS400の輸入を進めると、アラブ湾岸諸国の幾つかが、ロシアからS400を輸入したい、と打診しているのだ。これはロシアの作戦の勝利であったろうと思われる。今回、カナダがドローンの最新テクノロジーの、トルコヘの供与を拒否したことは、アメリカとの相談の上での、対応であったと思われる。
アメリカにしろカナダにし、同じNATO加盟国とはいえ、トルコは何処の国に武器を輸出するか、安心出来無いからだ。その結果、自国のテクノロジーを満載した武器が、自国に向けて発射される危険性が、高いからであろう。
実際にアゼルバイジャンとアルメニアとの戦争では、トルコがアゼルバイジャンを支援しており、アメリカなどはアルメニア支持であろう。従って、武器の輸出を検討せずに進めれば、事故が起る可能性は高い。それは明日にでも起ることなのだ。