先日、ロシアの主導で、アゼルバイジャンとアルメニアとの、戦争終結に向けた、停戦合意が成立した。それは結構なことなのだが、実際には実現しないということは、誰にも分かっていたはずだ。
アゼルバイジャンとアルメニアとの戦争は、両国間だけのものではなく、トルコが深く関与しているからだ。トルコがこの戦争で何を狙っており、その目的が何処まで進展したかによって、情況は決まるのだ。
トルコはアルメニア人虐殺の、歴史的な汚点を消そうとするのだが、そんなことは出来なかった。そこで今回は、アゼルバイジャンを引き合いにして、徹底的にアルメニアを攻撃する意図が、あったのではないか。
現実にそれは進み、アゼルバイジャン側の攻撃と同時に、トルコ軍の参戦が伝えられていた。トルコ空軍の空爆が効を奏していたようだ。これではアルメニアには勝ち目はない、だから簡単にロシアの停戦助言を受け入れたのだ。
他方、アゼルバイジャン側にしてみれば、トルコが手を引けば惨憺たる敗北が、目に見えている。これまでの何度にも渡る、アゼルバイジャンとアルメニアの戦争で、アゼルバイジャン側が優位に、立ったことは無いのだ。
アゼルバイジャンの男には根性がない、と冷やかしの言葉が、このために向けられていたのだ。それでアゼルバイジャンもロシアの停戦呼びかけに、応えたのであろう。仲介者が多いほど、問題は複雑化するが、戦闘が激しくなることは、避けられるからであろう。その問題のトルコだが、やはり経済的な問題が拡大しているために、長期戦は出来無いのでは、ないだろうか。
シリアやリビアへの派兵は、何の果実も得る事無く、尻すぼみになっているが、アゼルバイジャンとアルメニアとの戦争も、同じ結果になるのではないか。そこで、トルコのエルドアン大統領はEUに呼びかけ、関係を改善したいと言い始めている。
アカル国防相も東地中海とエーゲ海の問題を、話し合いで解決したい、と言い出している。エルドアン大統領とアカル国防相が、同時期にヨーロッパに働きかけたのは、実際のところ、トルコが困っているからではないか、と思われる。
馬鹿なことを始めたものだ、一国の大統領がここまでアホだと、状況はめちゃくちゃになってしまう。頭を冷やして考えろと言いたい。しかし、それは彼には通じまい。博打に負け続けた男が、最後のあり金全部を、博打にかけているようなものだ。
その後は、博打打ちが自殺するか強盗するか、エルドアンは多分また強盗を考えるのであろう。例えばカタールを脅しまくるとか。しかし、それはまさに自殺行為であり、アラブ湾岸諸国だけではなく、世界から相手にされなくなろう。サウジアラビアはトルコ製品買うな、観光に行くな、トルコに投資するなと言い始めている。