どうもアメリカのトルコに対する見方が、厳しくなってきているようだ。これまでの友好協力関係とは異なる立場を、アメリカは示しつつあるようだ。アメリカはトルコが中東地域で問題を起こし、火に油を注いでいる、と考え始めているようだ。
そうした考えはポンペオ国務長官の、言動から感じられる。ポンペオ国務長官は最近ギリシャのリーダーに会い、ギリシャのリーダーはトルコが攻撃的である事を指摘した。確かに、トルコのギリシャとキプロスに対する攻勢は、中東地域で緊張を高めている。
そうしたトルコの攻勢は、ギリシ・キプロスばかりではなく、エジプト、イスラエルとの関係でも目立ってきている。当然のことながら、これらのトルコと敵対する国々の間で、新たな連帯の動きが出て来ているのだ。
トルコはシリアやリビに攻撃をかけ、アゼルバイジャンを支援し、宗教的強硬派組織を、支援してもいる。トルコ軍はいまではアルメニア軍と、衝突さえしているのだ。つまり、中東地域各所で、紛争に油を注いでいるということだ。それはロシアとの関係でも、問題が生じており、トルコのリビアやシリアに向けた武器の搬送は、ロシアとの緊張を生み出すことになるだろう。
加えて、エルサレム問題でも『トルコは解放する』と息巻き始め、アラブ首長国連邦がイスラエルと交わした関係正常化に、真っ向から挑戦しているのだ。加えて、トルコはハマース代表団を招待し、手厚くもてなしもした。
アゼルバイジャンとアルメニアとの戦争では、アゼルバイジャンを激励し、アルメニアについてはジャーナリストや政治家を虐待している。こうしたトルコの強硬姿勢の裏には、アメリカ国務省のトルコ代表である、ジェイムズ・ジェフリーが影響しているようだ。
こうしたことから、ポンペオがトルコに対する対応を、変えるのではないか、という懸念がトルコ政府内では、広がりつつあるようだ。ポンペオ国務長官はトルコ政府高官との、協議をキャンセルしてもいる。
トルコのチャウショール外相は、ナンシー・ペロシーを非難し、ジョー・バイデン氏も非難している。アメリカにとって最大の怒りは、ハマースの代表団を受け入れたことであり、シリア傭兵をアゼルバイジャンに、送り込んだことだが、これらの動きはアメリカの利益を、犯すものだ。
また、トルコが進めるイランとの貿易も、アメリカにとっては不愉快極まりないものであろう。イランからの代表団を暖かく迎え入れていることも、不快なはずだ。こうしたことが、今回のポンペオによるギリシャ・キプロス訪問に、トルコが含まれなかった理由であろう。