『トルコ人捕虜シルテで救出』

2020年10月 5日

 トルコ人の労働者が、リビアのシルテで解放されたようだ。このシルテはいま、最も重要な拠点として、西側GNA政府軍と東側LNA軍とが、対立している場所だ。そこでもトルコ人労働者が、働いているというのだから、トルコ人の勤労意欲というか、勇気は評価に値するかもしれない。

 しかし、労働者にはどの程度の軍事情報が、もたらされていたのか、気になるところだ。日本企業ならもっと早い段階で、シルテ行きは止めていたことであろう。企業は政府が言う、海外で仕事を受注しろ、の号令に闇雲に従っているだけではないのか、問題が起れば、トルコ政府が解決してくれる、という判断であったのであろう。

 今回の救出劇では、ギュルカン・ギュルメリチュレル公使が、動いたということだ。トルコのアナド-ル通信社の伝えるところによれば、今回の救出でトルコ大使館が、最大の努力をしたと伝えている。

 在リビアトルコ大使間は、現地の人道団体や、リビアの赤十字社、との協力で、トルコ人労働者の救出を、実現したということだ。

 リビアではカダフィ体制が崩れた2011年以来、内戦が続いており、多くの市民と戦闘員が、犠牲になっている。そこでもエルドアン大統領は、何とかリビアでの仕事を確保し、外貨収入を図りたいということだ。

 しかし、トルコ政府のリビアにおける立ち位置は、次第に弱くなってきており、今回の労働者救出劇は、まさに奇跡的な成果、といわざるを得まい、あるいは、GNAだけではなくLNAも、トルコ人労働者の釈放には、協力したのであろうか。

 今後、こうしたことがたびたび起るようになれば、救出は簡単でなくなるかもしれない。そうなれば、企業や労働者から、政府に対する不満が、高まっていくことであろう。