トルコとムスリム同胞団との間には、秘密の関係が成立しているようだ。このことが問題なのは、IS(ISIL)がムスリム同胞団を、母体として誕生しているという点だ。そのIS(ISIL)は20万人の戦闘員を抱え、たちまちにしてシリアとイラクの、多くの地域を支配するに至っていた。
何故それが可能だったのか、ということを考えると、トルコが果たした役割が、大きかったことが分かる。武器、弾薬、戦闘車両、高度な通信機器、これらは全てトルコがIS(ISIL)に、提供していたのだ。
エルドアン大統領がムスリム同胞団の、支援者であることは、既に広く知られていることだが、彼はこのムスリム同胞団を使って、イスラム・カリフ体という世界的な権力構造を、設立することを考えているのだ。
ムスリム同胞団は世界中のイスラム組織を、既に配下に収めている。その一つがIS)ISIL)なのだ。IS(ISIL)はシリアやイラクで盗んだ石油を、タンクローリーでトルコに運び出し、トルコはそれを世界に輸出していたのだ。
このムスリム同胞団とトルコ、IS(ISIL)との共同作業による、シリア・イラクの盗掘石油の輸出は、2015年12月にロシア軍による、IS(ISIL)攻撃で止まっている。ロシアが輸送手段であるIS(ISIL)の、タンクローリーのほとんどを、破壊したからだ。
トルコはまた、シリアのハタイをIS(ISIL)のシリア、イラクへの、移動ゲートとして認め、あらゆる支援を送っていたのだ。トルコによる武器のIS(ISIL)への供与は、トルコの情報機関が、主体となって実施していた。
その辺の状況については、ワシントン・ポストにIS(ISIL)のメンバーが暴露しているのだ。彼に言わせると『始めの頃はトルコを経由して、戦闘員が参加し、トルコは武器も提供していた。』というのだ。
加えて、トルコの情報部は衛星写真も、IS(ISIL)に提供し、戦闘を支援していた、ということのようだ。そうしたトルコとIS(ISIL)との関係が、弱くなっていったのはロシアによる圧力が、トルコに繋るようになったからだ。
この情報はイスラエルの情報部から出てきたものだが、大筋で反論すべき点は無い。ムスリム同胞団がいかに世界的な規模で、ものを考えて行動しているのか、トルコがそれを利用しよう、としていることも事実だ。
問題はそのトルコとIS(ISIL)を、アメリカが支援し、利用して来ていたということだ。その事については、イスラエル情報部は語っていないが、前後の関係からそれは分かろう。そうした構造が今では大分壊れたということだが、まだIS(ISIL)とアメリカとの関係は続いている。また、イスラエルがこのタイミングで、トルコとの関係を壊す情報を、何故暴露したか、ということも気にかかる点だ。