『トルコのインジルリク空軍基地から米軍撤収か』

2020年9月17日

 トルコにあるインジルリク空軍基地は、アメリカ軍やNATO軍にとって、最重要の基地だ。ここからはアラブ湾岸諸国防衛も、イラン攻勢も可能だからだ。あるいはそれ以上に、中東全域をカバーできているのかもしれない。

 そのインジルリク空軍基地から、アメリカ軍が撤収するという話は、大分前から出ていた。トルコはそれを対米の切り札と、考えてきていたからだ。だが、この切り札は同時にトルコにとっても、極めて大きな影響を及ぼすということを、忘れてはなるまい。

 もし、アメリカ軍がインジルリク空軍基地から、撤収することになれば、それはトルコがNATOから追い出される、という意味合いも濃いのだ。またインジルリク空軍基地にアメリカを始めとした、NATO各国軍がいることが、どれだけトルコの軍事力に、プラスになっているのかを、考える必要もあろう。

 それがアメリカ軍の撤収となれば、実質的にトルコの空軍力は、無くなったに等しいだろう。インジルリク空軍基地の持つ装備は完璧であり、情報収集から軍事展開、修理保全と、あらゆる面で大きな役割を、担ってきていたのだ。

 それだけ重要な意味を持つ、インジルリク空軍基地のアメリカ軍の存在が、疑問符を打たれるようになったのだ。ここに来て、これまで話題になっていた、アメリカ軍の撤収が真実味を持って、語られるようになってきた。

 それはトルコとギリシャとの関係が、大分悪化してきたことによろう。それ以外にも、トルコがロシアとの関係を改善し、ロシア製のS400ミサイル・システムを、輸入したことも上げられよう。このS400の輸入には、アメリカが猛烈に反対していたのだ。

加えて、アメリカがトルコの敵である、YPGを支援していること、S400問題、そして F35戦闘機の供与などが浮上してきているのだ。こうなるとトルコにしろ、アメリカにしろ、これ以上やっていけない、という相手に対する不信感が、募っていることであろう。

 そこで、アメリカはインジルリク空軍基地から撤収し、他に空軍基地を構築する考えであることが、伝わってき始めている。それは相当現実味を持っているようだ。ギリシャのクレタ島に、アメリカは空軍基地を設立する考えのようだ。しかも、海軍基地も併設する、考えのようだ。

 アメリカの海軍基地はクレタ島の、ソウダ湾が予定されているようだ。もちろん、そうなればアメリカにとって、トルコは第一の敵性国ということになろう。アメリカ軍はギリシャを支援し、ギリシャを信頼してかかろう。これでNATOは本来あるべき、白人諸国集団組織になる、ということか。

 今後トルコはどう動くのであろうか。どうもトルコのエルドアン大統領は、韓国の文政権に似てきているような気がする。両国は何処が敵国なのか、分からなくなっているのではないのか。