『トルコ指導効果なし・リビアは混乱』

2020年9月16日

 トルコがリビアの西側政府GNAの、セラジ体制を支援し続けているが、何も解決していないようだ。軍事的にもGNA側は、優位に立っているわけではない。GNAが何とかトリポリを支配してはいるが、極めて不安定な状態だ。

 そうしたなかで、トルコ・リビアが軍事的な協力関係を、強化しようとしてか、リビアの海軍提督がトルコを訪問した。提督の名前はアブドルハキーム・ハウリーヤだ。対するはトルコのアカル国防相ということだ。

 二人の間で話し合われたのは、これまでと同じような内容であり、何の新味も無い。軍事・治安訓練、トルコのリビアに対する、コンサルタントということのようだ。アカル国防相は『リビアはリビア人のものだ』と協調しているが、その言葉がどう影響するというのであろうか。

 トルコはリビアの独立性を支援し、地域の立場を守り、地域的統合を支援する、ということだ。そしてその実現のために、トルコは軍事的支援を、続けると言っている。だがトルコの軍事支援があるにも拘らず、リビアではアルワテイヤ空軍基地とタルフーナが、西側GNAの手中にあるが、それ以外はハフタル将軍側の、支配下となっている。

 好都合というべきか、東リビアではベンガジで、庶民のデモが起こり、マルジでは警察署が包囲される、という事態が発生した。これに対応して警察が発砲したために、一人が死亡し3人が負傷している。デモでは多数が逮捕されていることもあり、早期の釈放が叫ばれている。

他方、エジプト政府はリビアを訪問し、東側リビア政府LNAのアギーラ、サーレハなどと、相互の協力について討議している。エジプト政府は停戦を早急に実現し、政治的解決を急ぎたい模様だ。

 こうした動きに逆行するようなことが、リビアでは起こっているようだ。それは、西側リビア政府GNAのセラジ首相が、辞任を希望し始めたことだ。彼は今週中にも辞任したいということだ。何らかの形で、政府に対する影響力は残すものの、首相でいることに嫌気がさしたのであろうか。

 セラジ首相はリビア全域での即時停戦を、フェイス・ブックで呼びかけている。現段階では希望は、20213月に予定されている、リビアの総選挙の実施であろうか。これは9月にモロッコの首都ラバトに近い、ボウズニカで調印された合意だ。 

 セラジ首相の辞任希望は、リビアが混沌とした状態を、6年にも渡って続けていることからの、失望であろうが、トルコはこの事態を真剣に受け止め、代替策を講ずるべきであろう。今回、リビアの海軍提督であるアブドルハキーム・ハウリーヤが、トルコを訪問したことはその事を、討議するためではなかろうか。あるいはアブドルハキーム・ハウリーヤが次の首相になるのかもしれない。