『バハレーンの次はモロッコが標的』

2020年9月14日

 イスラエルとアラブ首長国連邦が、国交正常化に合意した後、何処の国がこれに続くか、ということが話題になっていたが、バハレーンがこれに続いた。その理由は既に述べたが、そのバハレーンに続いて、イスラエルと国交を正常化する国として、トランプ大統領はモロッコを上げている。

 なぜモロッコがイスラエルと、国交を正常化するかと言えば、それなりの理由があるのだ。モロッコはアラブの一番の西に位置する国。しかも、預言者ムハンマドの末裔という家柄なのだから、まさに名門中の名門ということになる。

 この国がイスラエルとの関係を、正常化するということは、他のアラブも追随しやすくなる、ということであろう。だが、モロッコは石油資源も無い、経済的に苦しいお国柄、西側諸国なかでもアメリカとの関係は、極めて重要であろう。

 加えて、そのアメリカを動かすには、ユダヤ・ネットワークを利用しない手はない。またモロッコは名門ではあるが、長い間、隣国アルジェリアとの関係は最悪であり、西サハラ)ポリサリオ)問題をめぐっては、何度も武力衝突を起こしてきている。

 そこで、アルジェリアの軍事的脅威に対抗して、アメリカの軍事支援が、必要ということになろう。外交的にはイスラエルの支援も、極めて有効でもあろうということだ。アルジェリアに対してはリビア問題をめぐり、トルコが急接近してもいる、

そのために、ますます危険度が上がっていく、可能性があるのだ。アルジェリアとトルコとの協力を打破する上でも、モロッコはアメリカとイスラエルの協力が、必要ということになろう。そうした裏があっての、今回の関係正常化第3候補国に、選ばれたのではないか。

トランプ大統領がいまの段階で、モロッコを名指ししたということは、その確立が極めて高いからではないか。そうでなければ、大統領選挙前のいま、そんなことを言い出すはずが無いからだ。

このモロッコとイスラエルとの関係正常化は、裏ではサウジアラビアも支持しよう。アラブ首長国連邦や、エジプトも当然支持に回ろう。忘れてならないのは、モロッコがイスラエルと関係正常化すれば、アラブのなかの預言者の末裔二国が、イスラエルとの関係を正常化するということだ。もう一国は述べるまでもなくヨルダンだ。

これで、イスラエルはアラブの海の中にあって、孤立した存在ではなくなる、ということであり、アラブの資金がイスラエルの流れ込む、ということでもある。またそれはアラブ産油国の金が、西側マーケットなかでもアメリカに、流れ込むということだ。

結果的に、トランプ大統領はアメリカの経済を、活性化することができる、ということだ。トルコを押さえ込み、モロッコを安定化させ、イスラエルをアラブ諸国に認めさせることが出来る、トランプ構想は彼の大統領選挙での、勝利も約束しよう。

なんとなく今後の、アラブ世界が見えてくるような、大構想ではないか。いまのところアメリカ国内には、このトランプ大統領の構想を、邪魔するような勢力は、存在しないのではないか。