『エルドアンのオスマン大帝国再興の夢』

2020年9月 2日

 エルドアン大統領はトルコが、オスマン帝国最大の時代の領域を、奪還するつもりでいるようだ。彼はトルコ共和国を設立した、第一代ケマル・アタチュルク大統領に負けまいと、大構想を立てているのであろう。

 エルドアン大統領はそのために、オスマン帝国の支配地を、取り戻す計画のようだ。それは11世紀から14世紀に歴史を遡る、セルジュクトルコ時代の話だ。それは地域の水と石油を抑え、地中海も含むことになるという、壮大な計画なのだ。

 既にトルコ軍は、イラクとシリアに軍事侵攻しており、この話はデタラメではなく、実行されつつあるのだ。その結果、トルコが支配するであろう地域は、現在の国境よりも大きなものとなろう。

 トルコの領土はブルガリアやギリシャの一部、東エーゲ海の島々、キプロス全土、アルメニアのほとんどとグルジア、そしてイラクとシリアなのだ。その大構想を示す地図は、既に8月26日に公表されている。

 エルドアン大統領はあるいは、ローマ帝国よりも広大な領土の支配を、考えているのかもしれない。トルコはあのアメリカに対してでさえ、『シリアから撤退しろ』と言っている。彼の野望はアメリカでも止められない、というのであろうか。  

 最近では、パレスチナのガザの支配者ハマースの代表イスマイル・ハニヤをトルコに招待し、彼にトルコ国籍とパスポートを与えている。これはハニヤがEUに、自由に入っていける下地となろう。しかも彼はテロのリーダーなのだ。

 しかし、エルドアン大統領の壮大な構想も、経済の成功無しには、考えられないことであり、トルコの経済の成功は、アメリカとイスラエルに、拠るところ大であろう。つまり、エルドアン大統領がどう主張しようとも、経済での成功無しには、大オスマン帝国構想は成功し得ない、ということだ。

 しかし、エルドアン大統領のこの大構想は、実際にはトルコがいま抱えている、国内の多くの問題を、隠蔽するためであろう。経済の悪化、失業、インフレ、そしてコロナが大拡大しているのだ。

国民を欺く目隠しのための構想で、国民はますます経済的負担を、増やされるということだ。たまったものではあるまい。そのうち大オスマン帝国が成立する前に、エルドアン大統領体制が、大爆発し瓦解するのではないのか。