『中東短信』

2020年9月 1日

 

:レバノン新首相

 レバノンの新首相に、ムスタファ・アデーブが決まりそうだ。彼は元外交官だそうで、しかるべき常識を備えた、人物であろう。また述べるまでもなく、彼はイスラム教スンニー派の出身だ。レバノンでは大統領はキリスト教徒、首相はイスラム教スンニー派、と決まっているからだ。

 意外なことに、ヘズブラはこの人物を受け入れる、という声明を出している。いまは爆発の後だけに、国内でもめている余裕は、ないのかもしれない、一致協力して復興を進めて欲しいものだ。

 世銀は今回の爆発による損失は、80億ドルと見積もっている、他には46億ドルという説もあるが、小国レバノンにとっては、大損害であろう。しかし、レバノン人の賢さがそれを、早急にリカバーするのではないか。フランスがどの程度の支援を送るのか見物だ。

:サウジアアビアのアブハ空港攻撃受ける

 サウジアラビアのアブハ空港が、イエメンのホウシ派によって、ドローン攻撃を受けた模様だ。このアブハ空港は外国からの出稼ぎ者の利用も多く、もし攻撃が成功していたら、大惨事になっていたことであろう、この攻撃に関する詳細は、まだ伝えられていない。サウジアラビア政府はホウシ派のドローン攻撃を、阻止したと語っている。

:トルコがリビアと銀行協力

 トルコ政府はリビア政府との間で、銀行協力のMOUを交わしたと発表した。しかし、現実にはリビア西側政府GNAは、石油を支配できていないために、金は無いわけであり、トルコ側の持ち出しとなるのではないか。

 トルコ政府とすれば、国民の前でリビアに派兵したことが、経済的なメリットを生み出すのだ、という幻想を抱かせる、必要があるのであろう。

:中国はサウジアラビアの高い石油は買わない

 イランの報じたところによれば、中国政府はサウジアラビアの高い石油を、買わない方針のようだ。その代わり、中国がイランから輸入する石油の量は、増えるということであろう。

 サウジアラビアは未だに、石油による金満国家だった時代の、幻想に生きているのか、石油を高価格で売りつけようとしているようだ。その裏にはアラムコの利益が、大幅に減少していることもあろう。

 こうした情況で、アメリカがどうサウジアラビアの味方を、してくれるかということだが、相手が中国では何ともなるまい。その分、日本が高い石油を買うことにならなければいいのだが。