『UAEイスラエル関係は多への試金石』

2020年8月23日

 アラブ湾岸諸国の一国である、アラブ首長国連邦がイスラエルとの外交関係を、スタートしたが、これは他のアラブ湾岸諸国への、試金石となるようだ。本音のところ、アラブ湾岸諸国の多くは、アラブ府長国連邦が先鞭を付けてくれたことに、感謝しながら、同時にそれが危険性を、帯びていることを知っていよう。

 もし、安易にアラブ首長国連邦に追従すれば、内外からの反発に会うことになろう。だが、同時にこれは世界の変化のなかでは、無視出来無い一歩であったと思われる。もちろん、アメリカのアドバイス(圧力)も、あったのであろう。

 サウジアラビアがどう動くかということが、やはり主題であろうが、サウジアラビア政府はアラブ首長国連邦の、一歩先を行く外交に対して、イスラエルがパレスチナ国家を認めることが、サウジアラビアのイスラエルとの外交を開く、重要なポイントだと言っている。まさにその通りであろう。

 パキスタンも同じ意見であり、パレスチナ国家の設立が、イスラエルとの外交をどうするかの、要点としているし、オマーンも同じ立場だ。さてこのアラブやイスラエルの立場表明にイスラエルは、どう応えるのであろうか。

 トランプ大統領はイスラエルの首都を、エルサレムに変更し、大使館もエルサレムに開設した。しかし、アメリカはイスラエルによる、ヨルダン川西岸地区の併合には、待ったをかけている。そこまではいまの段階では、進んで欲しくないということであろう。

 どうも勢いよく、アラブ・イスラエル関係が促進する、ということにはなりそうも無い。しかし、カーテンの裏側ではサウジアラビアは、イスラエルと深い関係にあり、オマーンも然りだ。クウエイトは拒んでいるが、それはパレスチナ人の暴動が怖いからであろう。 

 1970年代の初頭、パレスチナ人によるハイジャックや、テロが続いているとき、クウエイトは率先してパレスチナ解放機構に、資金援助していた。これはパレスチナ人によるクウエイト国内外でのテロを、防ぐためのものだった。

 今回もクウエイトは慎重な立場を採っているが、願わくば、他のアラブ諸国がイスラエル承認に動いて欲しい、と考えているのではないか。クウエイトの政治外交での立ち位置は、あまり明確になっていないが、この国もアメリカの保護下にあるのであり、アラブ首長国連邦とあまり変わりあるまい。

 モロッコ、チュニジアなども早晩、イスラエル承認に動こうし、スーダンもそうではないのか。時代は変わったということであり、アラブの大義などは胡散無償、ということであろう。第一、マハムード・アッバース議長を始めとする、パレスチナ政府の幹部も皆、イスラエルとズブズブの関係にあるのだから、あくまでも表面的なことであり、薄い膜が掛けられてあるだけであろう。