『北レバノンはトルコの支配下に入るのか』

2020年8月30日

 北レバノンに対するトルコの進出が、放置出来無い状況に、なりつつあるようだ。トルコは北レバノンのトリポリを中心に、膨大な量の武器を搬入しており、経済支援も行なっている。

 北レバノンにトルコが手を出すのは、この地域にトルコ系住民が多いことと、スンニー派ムスリムが多いことによろう。もちろん、かつてこの地域はオスマン帝国の版図でもあったのだ、従ってトルコにしてみれば、失われた領土を奪還するくらいの、気持ちなのであろうか。

 トルコなレバノンに近い、シリアとイラクへの影響を、拡大する上でもレバノンで、勢力を拡大することは有利だ、と考えているようだ。従って、この地域を支配できれば、シリアとイラクへの影響力も、強化出来るということだ。

 トルコはリビア、シリア、イラクに手を出し、レバノンにもそうする意向なのだ。この情況がいかに危険なのかということは、イスラエルのモサド・トップのヨシ・コーヘンの発言からも分かろう。彼はレバノンへの影響では、『イランはそれほど脅威では無いが、トルコは極めて危険だ』と語っている。

 レバノンの内相も『トルコが400万ドルを持ち込み、市街戦の戦闘員に配っている』と語っている。北レバノンのトリポリには、多数のトルクメン(トルコ人の移住者)が住んでおり、ノハド・マチヌ-ク内相に言わせると『トルコはトリポリを占領支配するつもりだ』ということになる。

 こうしたトルコの野望への協力者は、レバノンの高官のなかにもいる。例えば元首のハリーリの長男、バハー・ハリーリもそうであり、元法務省のアシュラフ・リーフィもそうだ。このようにして、トルコはレバノンのなかにシンパを育て、スンニー派ネット・ワークを、構築しているのだ。

 もちろん、このネット・ワークにはムスリム同胞団メンバーの、ジャマーア・イスラーミーヤも含まれている。そして北レバノンのスンニー派への働きかけは、トルコとサウジアラビアが競っているのだ。

 こうなると潤沢な資金が、トルコとサウジアラビアから流入し、北レバノンの活動は間違いなく活発化していこう。その先には、大オスマン帝国とスルタン・エルドアンの誕生ということか。馬鹿げた夢であろう。