『トルコの黒海ガス石油はホラ話』

2020年8月28日

 

 トルコ政府が声高に宣言した、黒海海域での海底石油ガス発見は、数年以内にでも生産が、可能なように伝えられているが、これはホラ話であろう。そんなに簡単に海底エネルギーが、掘り出せるということはないし、それを運搬する海底パイプ・ラインも敷設しなければならないのだ。

 まず探査が進められ、次いで試掘、そして生産へと向かうプロセスを、踏まなければならないのだが、膨大な資金が必要となろう。とてもいまのトルコには、そんな資金は出せまい。そうなると、エルドアン大統領の得意な、人の財布を当てにしての開発、ということになり、それは何時でも躓く危険が伴おう。

 短期的には、この金鉱脈を掘り当てたという話は、トルコの株式やリラに好影響を与える、と期待出来るのだが、いまのところ、そうした動きは全く無く、ますますトルコ・リラは値を下げている。つまり、現状は全く逆の動きを、示しているのだ。

 トルコの強気発言は、あくまでも外国の資金が投入され、外国の技術(企業)が進出して、達成可能なことであり、リスクはでかいということだ。

 トルコが黒海ガスの産出により、ロシアやイランのガスに頼る必要はない、と言い出しているが、それはせいぜいロシアやイランとの値引き交渉の、材料ではないのかと思われる。それで少しでもロシアやイランが、値引きしてくれたらいい、ということであろうか。

 だがこの交渉は逆効果を、生み出すのではないのか、と懸念される。ロシアもイランもそれほど、愚かではないからだ。多分に倍返しが、起こるのではないだろうか。

 イスラエルが最近、何故アメリカはトルコに甘いのか、といった非難を始めているが、これも何がしかの兆候であろう。アメリカもトルコのエルドアン大統領の、傍若無人な言動には、嫌気がさしているはずだ。

 アメリカがトルコに期待しているのは、あちこちで放火し、中東諸国が不安定化することであろう。トルコに悪役を演じさせ、その後に、アメリカは白馬に乗って登場する正義の味方を演ずる、という構図であろう。

 自分が賢いと思う奴ほど、墓穴を掘るのは世の定め、エルドアン大統領もその一人ではないのか、たまらないのは、そんな暴君に引きずられる、トルコ国民であろう。