『イラク・イラン・アメリカ関係に変化』

2020年8月21日

:カデミ・イラク首相トランプと会談

 イラクのカデミ首相が訪米し、トランプ大統領と現状意見交換と、協力について語った。主な議題はイランのイラク関与と、IS(ISIL)だったようだ。カデミ首相は在イラク米軍の規模縮小を、要請したようだ。

 これに対して、トランプ大統領は出来るだけ早い時期に、全ての米軍を撤退させたい、と語っている。トランプ大統領は在イラク米軍を何時までも、駐留させておくつもりは無い、とも語っている。

 トランプ大統領はイラクとの関係が良好であると語り、短期の撤退を口にしたわけだが、撤退後はアメリカの企業が進出し、石油取引を交渉すると語っている。しかし、トランプ大統領の発言の意味は深長だ。出来るだけ早い撤退と石油取引を、明言している点だ。

 現在、アメリカ軍はイラクに、5000人程が駐留しているようだが、イラクの総指揮官であるマッケンジー将軍は、イラクはアメリカ軍を歓迎しており、なかでも、IS(S|ISIL)対応では歓迎されている、と語った。

 アメリカの支援を受けるカデミ首相は、アメリカ軍と協力して、イラク軍の訓練を進めていく方針のようだ。だが、イラクとアメリカとの間には汚点がある。それはイランのスレイマーニ将軍の、アメリカによる暗殺事件だ。

 イラクとイランとの間には、文化的宗教的結びつきがあり、アメリカが考えているように単純ではない。イランはイラク国内の安定のために、イラク兵のトレーニングも行なっているのだ。

 北イラクでは未だにIS(ISIL)が活動しており、彼らは3年前にイラク軍によって掃討されたということに、なっていたのだが、スリーパーとして残っているのだ。こうしたこともあり、アメリカ軍はイラクに駐留する理由が出来、イラクもアメリカ軍の力に、頼っているのであろう。

 カデミ首相は以前、長期アメリカに滞在していた人物であり、アメリカのコントロール下にあるだろう。

:クシュネルがイランを訪問

 トランプ大統領の義理の息子クシュネルがイランを訪問した。彼の語ったところによれば、トランプ大統領はイランとの間で1ヶ月以内に、交渉を始めるつもりだということだ。クシュネルは訪問時にイラン政府の最大のミスはイスラミック・リパブリックのラベエと交渉したことだというのだ。このクシュネルのイラン訪問の裏にあるのは、11月の大統領選挙対策なのか、あるいはイラクの石油を押さえたいという、本音なのかまだ分からない。あるいはその両方かもしれない。