『エルドアンの大博打運河構想挫折か』

2020年8月17日

 エルドアン大統領が2011年に宣言した、イスタンブール運河計画は挫折するかもしれない。それに使われる資金があまりにも、莫大過ぎるからだ。何と驚く無かれその予算は、1000億ドルだというのだ。

 ボスポラス海峡の西側の陸地に、45キロ程度の運河を通す、という計画だったはずだ。その資金は述べるまでも無く、外国からの借入金、担保は運河そのものであろう。そうだとすれば、借金が返せない場合は、運河は外国の所有になるということだ。

 加えて、運河の建設は周辺地域の環境破壊につながり、その事は多くの環境専門家からも非難されている。この運河計画で一番負担を強いられるのは、当該地イスタンブールであり、そこの市民ということになろう。

 どれだけの運河建設のための税が、市民にのしかかってくるか、分からないのだ。当初は、この運河が建設される地帯の、湖や低地を通過することで、費用はそれ程かからない、と政府は説明し、エルドアン大統領もそう強調していた。

 しかし、運河建設が本格的に動き出すと、そうではないことが分かってきたのであろう。加えて、黒海とマルマラ海(地中海に繋がる南側)の水位差の、問題もあるのではないか。水位差が大きければ、船の航行にじゃまになろう。

 イスタンブールのイマモール市長は、こうしたことから運河建設に、反対の声をあげ始めたわけだが、彼に言わせると、運河の建設は、環境問題ばかりではなく、経済問題を生み出し、政治問題も生み出すということだ。確かにそうであろう。

 エルドアン大統領のメガ・プロジェクト好き、戦争好きに国民は、うんざりしていることであろう。エルドアン大統領の手法は、まさに博打打ち、当たればいいが外れたら付けはでかい。

 これはまるで、バカおやじが博打で負け、家族が泣く泣く博打の借金を、払うという構図ではないか。運気は何時までも続くことは無い。そろそろおしまいだと思うのだが、博打打ちはそうは考えない。