『イラクがトルコの軍事侵攻非難』

2020年8月14日

 トルコ軍がイラク国内で戦闘行動を、展開していることが、いま問題になっている。トルコ政府に言わせれば、反トルコのクルド労働党PKKが、イラク国内で自由に活動していることに対する、対応策だというのだが。

 トルコ外務省はこの事について、イラク政府に協力を要請しているが、あまりいい返答は返っていないようだ。それはトルコの軍事行動が、イラクの主権を侵すものであり、治安と安定を欠くことに、繋がるからだ。

 6月からトルコ軍はタイガーの爪作戦を始め、イラクの内奥に侵攻している。また8月11日のトルコ軍による空爆は、北イラクで2人を殺害しているのだ。これではイラク政府の立場は無くなろうから、トルコに文句を言っても不思議はあるまい。

 こうしたトルコの傍若無人の振る舞いに、アラブの盟主たるエジプトは、沈黙を破らざるを得なくなった。エジプト政府はイラクの主権を侵すべきではないと語り、領土を侵攻すべきではない、と非難した。

 なかでもトルコ軍のドローンによる攻撃は、イラク側の国境地帯に、甚大な被害をもたらしているようだ。国境地帯ばかりではなく、首都バグダッドのそばでも、軍事作戦を展開しているというのだから、あきれるばかりだ。

 ここでもトルコのオスマン帝国復帰への、動きが感じられる。周辺諸国は元々はオスマン帝国の領土だ、という意識が強いのであろう。従って、これらの地域に対する攻撃は相手国の許可を得る必要は、無いという判断であろう。

 だが、こうしたやり方は敵を増やし、将来的にはトルコが、不安定化していくことに繋がろう。アメリカはトルコの蛮行を認めておらず、トルコへの武器輸出を阻止する動きに、出始めていることは事実だ。トルコ政府に言わせると、アメリカによる武器輸出への妨害は、2年も続いているということだ。

 やがてトルコは何処からも、武器を輸入できなくなる時期が、来るかもしれない。東地中海の海底資源開発では、フランスが明確にギリシャを、支持し始めている。もちろん、だからと言って、フランス軍とトルコ軍が、海上戦を始めるというのでは無いが、この結果は外交的に、トルコに大失点を生み出すことに繋がろう。

 旧オスマン帝国のトルコは、シリア、リビア、イラク、ギリシャなどとの、軍事衝突や軍事緊張を生み出しており、四面楚歌ではないか。その軍資金は何時まで続くのか、カタールは何時まで援助し続けるのか。気になるところだ。