『ベイルートで何が起こったのか日本は』

2020年8月 6日

 レバノンの首都ベイルートで大爆発が起こり、100人以上が死亡し、4000人を越える人たちが負傷する、という大惨事になっている。しかも、負傷者の生存はまだ確認できておらず、瓦礫の下で死亡している可能性も、高いということだ、従って死者数は今後も増えるであろう、と見られている。

 この大爆発はアンモニュームの倉庫が爆発した、という説と穀物倉庫が爆発した、という説が流れているが、多分、アンモニュームのほうではないか。あるいは二度爆発が起こっているので、その両方かもしれない。

それは爆発時には衝撃波が走り、きのこ状の煙が立ち上ったというのだ。爆発はまるで核爆弾の爆発のようだったということだ。その後の調べでは、放射能も検出されている、ということだ。

 いま問題になっているのは、ヘズブラの武器庫が何処にあるか、ということだ。どうやら、ヘズブラの武器庫は学校や病院、ゴルフ・クラブ、イラン大使館のそばにある、というのだ。そこにはミサイル製造の材料もある、ということなので、危険極まりないということだ。

 そのためヘズブラは武器庫をほかに移動するだろう、という意見が出ているが、住民を縛り、そのままにする可能性も、あるということのようだ。ヘズブラに対しては、誰も反対出来ない、それはレバノン政府も然りだ。

 今回の爆発で、住民の250000人から300000人が、家を失っているということだ。そのためベイルート住民のなかには、被災者家族を自宅に住ませる人達も、出て来ていると伝えられている。レバノン政府はこれら膨大な数の被災者に対し、住居、食料、水を供給しなければならないのだ。

 この爆発による損害は30億ドルから50億ドル、と見られているが、再建費用は膨大な額になるとみられており、その20倍以上だろうということだ。しかも、この爆発でトクシク・ガスが出ており、住民は家から出ずマスクを使用しろ、と政府は指導しているようだ。しかも、ベイルートにはシリアからの難民もおり、彼らを加えた食料の供給は、至難のわざ、ということであろう。

 こうした惨状に、イスラエル政府も援助の手を差し伸べたいのだが、政治的な問題がありそう出来ていない。イスラエル政府はレバノン政府に対し、支援を申し出たが、レバノン政府からは返答が無い、ということだ。

 トランプ大統領はこの爆発を、何者かによる恐ろしい攻撃ではないか、と語っているが、その根拠は爆発で起った煙の形からの、判断であるようだ。だが、エジプト政府は攻撃の可能性を、否定している。

 レバノンの爆発事故では多数の消防員も、負傷しているが、ハサン・デアブ首相は爆発の原因を、2750トンのアンモニューム・ニトレイトであり、これは何の安全対策も採られずに、6年間放置されていたと考えている。

 穀物倉庫が爆発した結果、いまでは一か月分の穀物しかレバノンには残っていない、といういうことだ。従って、レバノンが食糧難に陥るのは、時間の問題ということになろう。