『シリアのロシア軍に変化が?』

2020年8月 3日

 シリア駐留のロシア軍に、変化が起こり始めているのかもしれない。南部シリアの駐留するロシア軍の前で、シリアのミリシアがこれまでとは、意味合いの違うスローガンを、叫んだようだ。

 彼らはスンニー派のミリシアであり、基本的にはアサド大統領とは、立場を異にするのだろうが、それがロシア軍の前で『シリアは永遠に・アサドは打倒しろ』と叫んだというのだ。

これらのシリア・ミリシアはロシア軍によって、訓練された1000人ほどだが、彼らはロシア軍を前にするパレードのなかで、こう叫んだようだ。このミリシアは今年の1月から結成され、ダラア、クネイトラ、ジャバル・ドルーズなどを担当することになっている。

もとより、南部シリアを固めているシリア・ミリシアは、反アサドと言われてきてはいた。その責任者であるアハマド・アウーダは、ロシアの軍高官の前で、このシリア・ミリシア第5部隊はイランの浸透に反発し、ロシアのシリア・コントロールに対しても、挑戦すると語った模様だ。

ロシアはいまシリアに対して、何を考えているのであろうか。東シリアのデルズールでは、シリア・イラク国境地帯に駐留するイラン軍を、追放する動きがある。この地域ではロシア軍が、クルド・ミリシアとコンタクトを取り始めている、という情報もある。

クルド・ミリシアは最終的に、クルドの自治を目標としており、反アサドの立場だが、ロシアはこのクルドの目標を、支持するということなのであろうか。非常に気になる変化ではないか、と思われる。

もちろん、ロシアがクルドやスンニー派のミリシアと連携して、アサド体制を追放するのは、アメリカがシリアから撤退することを、前提としていよう。アメリカはシリアをあきらめる代わりに、アサド体制打倒をロシアに任せる、ということであろうか。

ロシアはシリアを地中海地域唯一の、軍事拠点と考えており、ラタキアの空軍基地やタルトースの海軍基地を諦めはすまい。あるいはいま、ロシアとアメリカが秘密裏に大きな交渉を始めているのかもしれない。