リビアの内戦が大分続いている。その中で1000人以上の戦闘員、市民が犠牲になっている。痛ましい話なのだが、いまの状態からはなかなか、抜け出せそうにない。それはリビアにある、二つの政府GNAとLNAには、それぞれの支援国が存在するからだ。
これらの支援国は将来、自分たちが支援する側が勝利し、リビアの石油を入手することを、夢見ているからであろう。リビアの石油は軽質油であり、きわめて良質なのだ。それを欧米もロシアも、狙っている。
リビアの東部LNA政府に対してはエジプト、アラブ首長国連邦、サウジアラビア、ロシアなどが支援を送っており、それにアメリカが後ろで支援しており、フランスも支援しているのだ。
リビアの西部GNA政府に対しては、トルコが本格的に支援を送っており、自国軍を派兵していること、シリアで集めた傭兵を送っていることは、公にされている。これに加え、トルコの盟友カタールが支援しているし、イタリアも支援している。
従って、リビア内戦は当分収まらないだろう、というのが大方の予想だが、そこで出てきたのが、リビアを二分するという解決策だ。元々、リビアは東西に分かれていた、と主張する人達もいる。
しかし、ここに来てトルコは、リビア分割による内戦の解決に、反対し始めている。トルコはシリアやイラクの例を持ち出し、これらの国のような状態に、リビアを追い込んではならないと主張する。この主張は、トルコのスポークスマンであるイブラヒム・カルンが最近語ったものだ。
イブラヒム・カルンは『トルコは国連が認めている、正当政府のGNAを支持する。敵対者のハフタルはリビアを、分割しようと考えている。彼にはリビアを代表する、何の正統な権限もない。』と語った。
しかし、この一見正当な主張には、嘘が含まれているのではないか。もし、現状のGNAとLNAの支配地区でリビアを二分すれば、ほとんどの石油地帯は、東側のLNAの支配下になるのだ。これではトルコが膨大な軍資金と、兵員と傭兵と、武器を持ち込んだ苦労が、水泡に帰することになろう。
トルコが西側のGNAを支持しているのは、あくまでも石油収入を抑えることであり。このGNAを支援するメリットは、国連の傀儡だということにある。しかし、国連とてもここまで来ると、今後GNAを見限る可能性があろう。
悲しいことに、現在リビア内戦に関与している国のほとんどは、リビア国民のためではなく、自分たちの利益のためだということだ。そのなかで例外なのは、エジプトであろう。エジプトにとってはGNAがリビアを支配することになれば、国内のムスリム同胞団が活性化し、危険になるからだ。