『リビア石油の支配をめぐる攻防』

2020年7月13日

 

 リビアの石油地帯をLNA(ハフタル将軍側)とGNA(セラジ首相側)の、いずれが支配するかということは、内戦の趨勢を決める重要な、ポイントとなろう。石油地帯を支配する側には、外国の援軍も影響を、受けることになる。

 現在はLNA側が石油地帯を支配しているが、リビアの石油代金はリビア中央銀行の口座に、振り込まれることになり、こちらはGNAの管轄下になっている。その入った金をLNAとGNAは折半して、戦闘を継続してきたということだ。

 しかし、ここに来てLNA側は、石油生産地域を支配下に、おいていることから、その運び出しを阻止し始めている。そうなれば石油は、輸出できなくなるわけであり、GNA側には金が入らなくなる、ということだ。

 ここまでLNAがGNAを追い込んだのには、それなりの理由が有ろう。つまり、国際社会は国連が認めている、GNAではなく、ハフタル将軍の率いるLNA側の支持に、回ったということではないのか。

 その理由はトルコの介入が、度を越したからではないのか。トルコはシリアで傭兵を集め、リビアに送り込みGNA側を支援しているし、トルコ軍の将兵も軍事顧問という名目で、送り込んでいる、しかし、そのトルコ軍の数は既に、1万人を超えていると言われ、とても軍事顧問と言い張れない規模に、拡大しているのだ。

 加えてトルコは、海軍と空軍が地中海南部、つまり、リビア沿岸で軍事訓練を行ってもいる。そして最近では、ロシアからトルコが輸入した、S400も投入する、と言い出している。そうなれば戦争の規模は、もっと大きくなり、アメリカとロシアの兵器が衝突することにもなるから、問題はもっと複雑になるだろう、

 もちろん、その辺のことはアメリカもロシアも分かっているから、双方の敵はトルコということになり、トルコは危険な情況に追い込まれるだろう。つまり、いま動いていることは世界の情勢を大きく変える、原因になると考えたほうが、いいのではないか。

 リビアアがいま輸出している石油の量は、30万バーレル弱であろうから、石油価格に影響は出ない。そうであることは思い切ったゲームが、出来るということであろう。ただし、このゲームは、情況をよくわきまえた者だけが、勝つということだ。