『イランとイスラエルの秘密攻撃』

2020年7月12日

 

 イランが核兵器を開発しているのではないか、という疑問でイスラエルは、相当神経質になっているようだ。もし、イランが核兵器の開発に成功すれば、その核兵器を使った攻撃が、一番懸念されるのは、イスラエルだからだ。

 このため、イスラエルは再三に渡って、アメリカに対しイラン攻撃を要請してきたが、アメリカにとっては、イランはアメリカ兵器をアラブ湾岸諸国に売るための、格好の口実であるために、躊躇してきていた。

 また、イランに軍事攻撃を加えれば、ペルシャ湾地域に駐留するアメリカ軍は、攻撃を受ける対象となる。大型兵器はアメリカが勝っていても、ゲリラ的な攻撃をかけられた場合は、応分の対抗策がない。

 しかも、カタールやバハレーンなどのアメリカ軍基地は、イランの攻撃に対し、極めて脆弱なのではないか。そのうえアラブ湾岸諸国も、イランの仕掛けてくる攻撃は、幅が広いだけに、対応が難しく極めて危険であろう。

 結果的に、アメリカは未だにイランに対して、軍事攻撃を控えている。そのため二次的手段としての、経済的なイラン締め付けが、次第に強化されている。しかし、これも致命的な結果を、生み出してはいない。

 こうしたことから、イスラエルは独自にイランの核開発を、遅らせるか断念させるために、どうやら秘密の破壊活動を、始めたのであろう。これまで、テヘランを中心に起こっている、連続爆発事件は、単なる事故ではなく、イスラエルの仕組んだものであろう、という見方が広がっている。

 そして、このイスラエルによるであろうと思われる、爆発事故がまたテヘランで起こった。それは相当な規模のものであったのであろう。巨大なビルが揺れたということだ。これではテヘランの住民の間には、不安が拡大して行き、政府非難も生まれるだろう、ということであろうが、かえってテヘラン住民は、イスラエルに対する憎しみを、強めていくのではないか。

 そう考えているのであろうか、元モサドのトップが最近、イランの核開発を止めることは出来ない、と発言している。その通りであろう。さすがにモサドは冷静な判断を、しているということだ。

 他方、これも冷静な判断であろうが、イランのナタンツ核濃縮施設は使用不能になった、と判断する専門家もいる。だが、イランも何らかの反撃を考えていようから、これからはイランがイスラエルに対し、どういう反撃をしてくるかを考える必要が、高まっていると判断すべきであろう。

 その場合、狙われるのはイスラエル最大の都市、テルアビブに対する攻撃であり、ネゲブの核施設であろう、この核施設は大分老朽化しており、事故が起こる可能性は低くない。イラン側はサイバー攻撃をかけ、事故が起こった場合は、老朽化による事故であり、イランは何もしていない、と嘯くかもしれない。

 サイバー攻撃という手段が開発されて依頼、世界中で不可思議な事故が増えている。それはイランでもイスラエルでも、増えていくのではないのか。