『トルコはリビアで窮地に追い込まれたか』

2020年7月 7日

 どうやらトルコがリビアで、窮地に追い込まれつつあるようだ。ひとつは、シドラの石油施設に、外人が入ったというニュースだが、どうやら入ったのはロシアの傭兵ワグナーの部隊のようだ。

 この結果、トルコはリビアの石油に手が出せなくなった、ということであろう。そもそも、トルコがリビアに手を出したのは、リビアの石油を狙ってのことであり、間違ってもリビア国民を、助けようということではなかった。

 シドラの石油集積所には、当然、積出港もあるわけであり、ここをロシアの傭兵ワグナーが押さえたということは、シルテもワグナーの強い影響下に、落ちたということであろう。その事は、シルテもシドラもロシアの支援する、ハフタル将軍側に落ちたということになるのだ。

 もう一つ、トルコにとって不都合なことは、ワテイヤの空軍基地が、空爆されたことだ。ここにはトルコ軍が基地を持っていたが、それが惨憺たる状態になった、ということだ。トルコが持ち込んだホーク・ミサイルは、あっけなく敵側によって、破壊されてしまった、といいうことだ。

 このワテイヤ基地攻撃はいまのところ、明らかになっていないが、攻撃を加えたのは、エジプト、アラブ首長国連邦、ロシア軍機などが考えられる。もちろんトルコ軍側はホーク・ミサイルで応戦したようだが、全く歯が立たなかったということだ。多分、旧式のミサイルは、飛ぶ前に地上で、破壊されたのであろう。

 ホーク・ミサイルは古いものであり、新型の兵器には対応できなかった、ということであろう。結果的に、トルコ軍はこのワテイヤ基地から、撤退したようだ。もちろん、トルコ軍がどの程度の規模で、撤退したのかについては、明らかにされていない。

 トルコ軍はこれでシルテを放棄し、ワテイヤ基地を放棄し、シドラの積出港を放棄したわけであり、これは相当の損失であろう。国際的にはトルコを含めた、外国軍のリビア駐留には反対の声が高く、EUなどは率先してトルコの、でしゃばりを非難している。 

 リビア問題では、話し合いによる解決という言葉の、意味するところはトルコは撤退しろ、ということであり、話し合いによる解決はセラジ政府に、妥協を迫っているということだ。セラジ政府にとっては、よくてリビアの二分割支配、悪ければ、権力の座から軍事的、に追放されるかもしれない。