トルコが経済的に苦しいことからであろう。近くカシオギ殺人事件をめぐり、裁判を始めるようだ。これは、サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子に対する、追い込みであり、同時にカタールとの関係を、強化することを狙っているのではないか、と思われる。
サウジアラビアはカタールを、アラブ湾岸諸国会議から追放し、何かと嫌がらせをしているが、それにはカタールも辟易している。そこでトルコはカシオギ裁判を持ち出すことにより、サウジアラビアのムハンマド・ビン・スルタン皇太子に圧力を掛け、あわよくば経済支援を、取り付けたいということであろう。
ムハンマド・ビン・サルマン皇太子がカシオギ殺人に、裏で関与していたというのは、国際的に認知されており、ムハンマド・ビン、サルマン皇太子は国際的な場で、遠慮がちになっている。
トルコとしては、これでサウジアラビアに圧力を掛け、カタールには貸しを作る、という作戦であろう。トルコのリビア侵攻では、その戦費のほとんどを、カタールが出しているのではないか、と思われる。
トルコがそこまでやるには、それなりの理由がある。トルイコ経済はコロナのこともあり、相当苦しくなっている。昨日、トルコ・リラは5月以来最安値をつけた、という報道があった。それは1ドルに対して6.88リラというのだから、それが原因でインフレも進もう、既にインフレ率は、12,62パーセントに達しているのだ。
トルコの主要産業である観光業は、ヨーロッパからの観光客が足止めされており、激減しているし、トルコ人のヨーロッパ渡航も、最近発表された入国許可国リストに、トルコは入っていない。そのため、トルコの外相がヨーロッパ側と交渉しているが、ことがコロナだけに、解決は出来ないだろう。
広げ過ぎたシリアやリビアに対する戦争、コロナの災禍、そして観光客の激減と、エルドアン大統領のメガ・プロジェクトとあっては、国民の生活は苦しくなるだけであろう。実際に、最近発表された支持政党に関する世論調査では、与党AKPは40パーセントをはるかに切り、36パーセント程度だという結果が出ている。
エルドアン大統領は選挙をコロナにかこつけて、実施とり止めにするのか、あるいは戦線を拡大し、非常事態として選挙を取り止めるのか。いずれにしても苦しい状態になってきているということだ。