6月19日の金曜日に、リビア南部のシャラーラ油田地帯に、ロシア傭兵とその他の傭兵たちが侵入したとNOC(リビア国営石油)の責任者が、ロイターの記者に語った。この結果、シャラーラ油田での石油生産が、止められる可能性が高くなった。
ロシアの傭兵たちはシャラーラに入った後、PFG(リビア政府の石油施設ガード部隊)の責任者に対して、石油の安全を守るために入った、と説明している。このPFGは石油施設の安全を守るために、リビア政府が設立した部隊だ。
ロシアの傭兵たちは戦闘車両を連ねて、シャラーラに入っており、大規模な組織だということであろう。しかも、この部隊にはロシアの傭兵だけではなく、その他の傭兵たちも参加しているということであり、そのなかにはスーダンの傭兵や、チャドの傭兵も含まれているのであろう。あるいはフランスからの傭兵も、含まれているかもしれない。
その結果、傭兵たちがシャラーラの石油を、勝手に輸出することが出来るか、というとそうはならないだろう。リビアの石油輸出はあくまでも、国連が認める西側のセラジ政府の権限であり、石油代金はリビアの中央銀行に入ることに、なっているからだ。
こうした動きの中で、シルテの重要性が増して来そうだ。シルテは地中海に面した港街であり、石油積出港に近いからだ。このシルテはこれまで、ハフタル将軍側が支配していたのだが、最近、ハフタル軍はトルコが支援する、セラジ政府軍に破れ、シルテから撤退している。
リビアでの各国の動きは、いかにリビアの石油資源に、直結しているかがこれで分かろう。ロシアも、フランスも、エジプトも皆リビアの石油と、その輸出による富を、狙っているのだ。
もちろん、トルコも同じであり、トルコ政府はセラジ政府が、リビア全域を支配出来れば、その後はリビアの石油も自由に持ち出すことが出来、リビアの復興事業も独占出来ると考えてのことだ。