トルコとフランスとの関係が、大分複雑になってきているようだ。それはトルコがセラジ政府を支援し、フランスがハフタル側を支援しているからだ。トルコは長い間、フランスがハフタル側を支援してきていると非難し、マクロンはトルコが危険なゲームをやっている、と非難している。
トルコとフランスは、シリア問題でも敵対関係にあり、トルコがクルドを攻撃することは、NATOのメンバー国としては、狂気の沙汰だと非難している。
他方、イスラエルもトルコの動きを警戒しており、トルコはイランと協力し、シリアに介入し、リビアにも介入した後、イスラエルを狙うのではないか、という懸念を抱き始めている。
トルコとイランはシリア問題で、反米の立場に立っており、シリア問題は共通の関心事となっている。クルドはイランとトルコにとって共通の敵であり、パレスチナのハマ-スへの支持も然りだ。
ただ、トルコがイエメン介入をちらつかせているのは、イランに対するリップ・サービスであり、本気ではあるまい。6月15日にザリーフ外相が、トルコを訪問しているが、これは言わばトルコ・イラン関係では、最高レベルの訪問であろう。そこでは、ロシアからのイランの武器輸入が、話し合われたのであろう。
クルド対応ではトルコとイランは、国内問題と捉えており、トルコは北イラクのクルド基地を攻撃しているし、イランもイラク領内に侵攻して攻撃している。イランはトルコが敵視する、PKKを攻撃しているのだ。
こうしたトリコ・イランの協力について、エジプトは6月19日には正式に、非難声明を発表している。問題はパレスチナをめぐり、トルコやイランが『ウンマ』を、持ち出していることだ。ウンマとはイスラム国家という意味だ。
ハメネイ師はパレスチナの解放を、実現するために、戦闘を強化しろと言っており、ライーシ師もパレスチナ問題を、最重要視すべきと語っている。
パレスチナ問題ではハマースのハニヤが、ちょくちょくトルコと関係のいい、カタールを訪問しているし、ハマースの幹部ミシャアルもカタールを訪問している。彼らのカタール訪問の目的は資金援助要請であろう。
これらはトルコとイランが、イスラエルを敵対視している証拠と言えよう。同時に、それはアメリカの中東への影響力を、低下させるという目的でもあろう。こうしたトルコとイランの動きは、すこぶるイスラエルに不安感と、不快感を与えていることであろう。
トルコはフランスだけではなく、遂にイスラエルも敵に回し、イランは、遂に、イスラエルも敵にまわしたということだ。