『エルドアンの野望ギリシャアルメニア攻撃』

2020年6月17日

 

 トルコがギリシャとアルメニアに対して、軍事攻撃を仕掛けるのではないか、という情報が流れ始めている。これは11世紀以来の話だ。その事に関する秘密の文書が、明らかになったのだ。

 2014年6月13日に出された、トルコ軍の報告によれば、計画は未だに生きているということだ。アルメニアへの軍事侵攻計画は、2000年8月15日に出されている。これらの文書が明らかになったのは、一寸したミスによるものだった。

 それは、2016年7月のエルドアン政権打倒の、クーデター事件に絡んで、明らかになったものだ。この情報は当然秘密扱いされていたが、裁判所がそれを明らかにすべきだとして、表に出たのだ。

 計画はシリアの軍事情勢によるとされており、もし、シリアの情勢がトルコに有利に働いた場合は、軍の一部を西側に移動できる、ということだ。そもそも、トルコのギリシャへの攻撃は、大分古くからあった。

それはチャカ・ベイに始まっており、彼は最初のオスマン帝国のアドミラル(海軍提督)と呼ばれていた人物だ。彼はビザンツの皇帝になることも、目論んでいたということだ。また、彼はオスマン帝国の海軍を、近代化しようと努力していた人物でもあるのだ。

 その大野望が、エルドアン大統領の時代に、復活したということだ。2019年3月の段階で、エルドアン大統領はイスタンブールにある、ギリシャ時代のハギア・ソフィア教会を、イスラム教のモスクに変更することを、言い出している。

 もちろん、このエルドアン大統領の発言に、ギリシャ側は猛反発している。ギリシャのジョージ・カトロガロス外相は『この問題は単にクリスチャンの、琴線に触れるという、問題ではない。この問題は国際法を犯すことであり、国際社会への挑戦だ。』とトルコを激しく非難している。

 トルコのエルドアン大統領が夢想家であり、大オスマン帝国の復活を、望んでいる人物だ、とはこれまで何度と無く、語られてきたが、ギリシャやアルメニアへの軍事攻撃を、本気で考えているのであろうか。

 トルコは今でも、シリアとリビアで軍事行動を起こしているのに、そのうえギリシャとアルメニアを、敵にするのであろうか。ギリシャのジョージ・カトロガロス外相が語るように、もし、ハギア・ソフィア教会をモスクに、変えるようなことになり、トルコがギリシャやアルメニアに戦争を仕掛ければ。ヨーロッパ諸国もアメリカも黙ってはいまい。

それをエルドアン大統領は、充分に検討し、計算に入れているのであろうか。もし、そうであるとすれば、彼の神経は正常とは、言え無いのではないか。世界はコロナ禍もあり、ある種の精神異常な状態にある。一寸したことが民族意識をあおり、人種差別の戦いを引き起こす、危険性があるのだ。