『シリア通貨下がる』

2020年6月 9日

 

 シリアの通貨リラが下げているようだ。アメリカは何としても、アサド体制を打倒したいのであろう、それには、ロシアが邪魔をして、軍事的には無理ということから、シリアの通貨を攻撃することによって、経済的にシリアが成り立たないように、してしまう作戦であろうか。

 ユーフラテス川の東岸地域では、シリア軍がアメリカ軍に対して攻勢であり、ロシア軍もイドリブで動いている。これではアメリカ軍が、下手な動きをすれば、かえって窮地に立たされることに、なろうということであろう。

 そこで出てきたのが、アメリカ得意の経済戦争であり、シリアの通貨リラは、内戦前の2011年代には、1ドルに対して50リラだったものが、いまでは1920リラに下がっている、ということだ。

 これでは、シリアのリラは紙くず同然ということに、なっているということだ。その事に加え、シリア国内ではアサド大統領と、従兄弟が非難合戦を始め、従兄弟は窮地に立たされているが、この人物は大富豪であり、それなりの反撃手段は持っている、というわけだ。

 多分、この従兄弟の後ろには、何時ものように、アメリカがいるのであろう。この内紛でアサド大統領は苦境に立ち、国内の国民の間に、敵を抱えることになったのだ。しかも、それはアサド大統領の同じ部族の、しかも親戚なのだから、問題は簡単であるまい。

 こうした状態では、いかなロシアといえども、アサド大統領体制を守ってやるのは、厳しいのではないか、と思われる。ロシアでも全ての敵と問題からから、アサド体制を守ってやることは、出来ないのだ。

 シリアの通過リラの暴落が、危機的な状態をシリア経済にもたらし、最終的には経済が成り立たなくなり、自滅することも起こりえよう。その危機への対策は、アサド体制では考え付かないのではあるまいか。それではロシアが解決策を、思いつくかというと、それも難しかろう。

 現在はロシアの経済も決して、いい状態にはなく、アメリカのドルに対抗出来る力は無い。そして、アラブの湾岸諸国は押し並べて、シリアに敵対している。アラブ湾岸諸国は友邦の国であるはずの、アラブのシリアよりも、最近ではイスラエルとの関係を、正常化する動きなのだ。

 これではシリアがどれだけ希望しても、アラブ湾岸諸国が資金的な援助を、シリアに送ってくれることは、期待出来まい。万事窮すか?