『欧州諸国はISの子供置き去りか』

2020年6月 4日

 

 シリアの北部にある難民キャンプには、900人のIS(ISIL)の子供たちが、放置されているということだ。この子供たちは病気になっても、何の治療も受けることが、出来ないでいる。

 一部は引き取られても、それは問題の解決には、なっていない。例えば、フランスの対応例では、一人の子供が引き取られても、その子供の家族はその後も、キャンプに置かれたままになり、家族が一緒に、移動できることは無いのだ。

 IS(ISIL)の子供たちの一部は、既に4年間もその難民キャンプに、留められており、精神障害や、身体の障害をわずらっている。もちろん、これらの子供たちは、教育も受けられないでいるのだ。

 いま大流行している、コロナに罹っている者もいよう。しかし、彼らはコロナ感染の有無を、テストされてもいないのだ。そうした劣悪な環境の中で死んでいく、子供たちもいる。これらの子供たちの両親は、ヨーロッパ人なのだ。

 他方、ロシア、トルコ、コソボ、ウズベキスタンなどは、IS(ISIL)の子供たちの、引取りを進めている。これらの国では母親と一緒に、移動した者が、100人を超えている、ということのようだ。

 こうした状態が起こっている理由について、ヨーロッパ諸国は次のような、説明をしている。曰く、難民の子供たちがいる、難民キャンプ地域は、戦争状態にあり、外交官が入っていって、実態を調査をするのには、大きな危険が伴う。

 従って、ヨーロッパ諸国はそんな危険は、冒したくないというのだ。それはIS(ISIL)の母子を引き取りたくないためであり、事実とは違う理由付け、であろうと思われる。現在カザフスタンには、IS(ISIL)メンバーのリハビリテーション・センターが、設けられており、そこでは母子が、再会してもいる。

 他方、20カ国程度がIS(ISIL)の子供たちを、引き取っている。アメリカもそのひとつであり、アメリカは15人の子供たちを、受け入れている。受け入れを拒否する国の言い分は、子供を引き取り、家族を帯同させると、母親だけではなく、父親も一緒に引き取ることになるからだ、というのだ。述べるまでも無く、父親は明確な元戦闘員なのだ。

 26人のカナダの子供たちは、いまシリアの難民キャンプに、閉じ込められている。これらの子供たちのほとんどは、6歳からそれ以下の、年齢だということだ。例えば、アミ-ラという名の、カナダ人の子供は生まれた後、両親が戦死し、孤児になったということだ。カナダ政府はこのアミ-ラを、引き取ろうとしていない。

これらの子供たちの母国は、子供たちが難民キャンプのなかで、死ぬこと望んでいるのかもしれない。まさに死人に口無しに、なるからだからだ。フランス政府は犯行に関わった、可能性のある母親については、フランスではなく、その犯行が起こった地域で、裁判を受けるべきだと主張している。

つまり、裁判はシリアやイラクで、行われるべきであり、その判決が出るまでは、それらの国が管理すべきだというのだ。昨年だけでシリアの難民キャンプに、収容されたIS(ISIL)の母子の数は、8万人にも上るということだ。

タイミーヤという子供の場合は、病気に罹り息が苦しくなり、手足も不自由になっていた。それで母親が訴え、最終的にフランス政府は引取りを、受け入れたということだ。これは極めて幸運なケースであろう。

しかし、このタイミーヤの母はその後も、難民キャンプに収容されたままになっており、タイミーヤと共にキャンプから、母国に帰ることは出来なかった。彼女は今の心境を『半分幸せであり、半分は悲しい。タイミーヤがフランスに帰り、治療してもらうことは嬉しいが、別れたままなのだから。』と語っている。

 ここに紹介した例は、ごく一部に過ぎないのだ。もっと悲惨なケースが、幾らでもあるだろう。それをIS(ISIL)に参加したの、は自分の意志だとか、子供はIS(ISIL)の両親の元に生まれたのだから、仕方が無い、と言って片付けられるのだろうか。