『与党AKPは支持大幅に下げる』

2020年6月 7日

  トルコの与党AKPへの支持が、大分落してきているようだ。これまでは、絶対エルドアン大統領を支持する、という固定票が35パーセント程度あり、それに浮動票というか、雰囲気で投票する人達が加わり、与党AKPへの支持は、40パーセントを超えていた。

 だが、2月に行われた調査の結果では、それが30パーセント以下に落ちている、ということだ。この調査を行ったのはコンダ社だが、コンダ社のジェネラル・マネージャーはバキル・アールデールだ。彼のコンデ社が調べたところ、エルドアン大統領の与党AKPに対する支持は、30パーセントを下回る、という結果だったということだ。

 こうした支持の低下は、元与党AKPの重鎮たち、首相であったアハマド・ダウトールや、蔵相のアリ・ババジャンの与党AKPからの、離党があったからだ。彼らは新党を結成して、エルドアン大統領に挑戦することに、しているのだ。

 以前から言って来たことだが、エルドアン大統領は二つの戦争を、シリアとリビアで継続しており、相当の戦費がかかっているものと思われる。そうしたトルコを支援しているのは、カタールだが、カタールにもやがて限界が、出てくるのではあるまいか。

カタールがトルコのリビア戦争への、介入を支援しているのは、リビアにムスリム同胞団の影響力の強い、政府を作るためだ。ムスリム同胞団に対するカタールの支持は、サウジアラビアやアラブ首長国連邦との、対立の中で強化されていったものだ。

同様に、トルコもムスリム同胞団を、支持しており、そのためにトルコとエジプトとの関係は、ギクシャクしている。エジプト政府にとって、ムスリム同胞団は最大の、政治的対抗組織だからだ。

トルコの現状はコロナの拡大と、二つの戦争でインフレが昂じており、失業率も高いままだ。このような状態では、与党AKPに対する支持が下がっても、当然のことではあるまいか。

その状態から、エルドアン大統領が抜け出すためには、シリアとリビアでの戦争で、明確な勝利を勝ち得、カタールからの資金を引き込んで、経済を改善しなければなるまい。いまリビアの戦争では、エルドアン大統領の支持する、セラジ政府側が優位に立っているが、それが何時まで続くかは分からない。

何故ならば、反対派のハフタル将軍側を、支援しているのは、エジプトであり、アラブ首長国連邦であり、アメリカ・ロシアだと言われているからだ。つまり、エルドアン大統領はいま、綱渡りの状態にある、ということではないのか。