レバノンのヘズブラのリーダーである、ナスラッラーが火曜日に、ヌール・ラジオの報じるところによれば、イスラエルはヨルダンを、パレスチナの国家にしてはならない、と語ったということだ。
これまで何十年もの間、ヨルダンはパレスチナの国にし、ヨルダン川西岸はイスラエルに併合すべきだ、という考えが、イスラエルやアメリカにはあった。パレスチナとイスラエルとの戦争を繰り返すなかで、多くのパレスチナ人がヨルダンに移動し、いまではヨルダンの人口の7パ-セントを、超えているものと思われる。
西岸に居住するパレスチナ人が、湾岸諸国などに出稼ぎに行く際に、使用するパスポートは、ヨルダン国籍のものだ。パレスチナ人にはパレスチナの、パスポートが無いからだ。
湾岸政争が起こり、クウエイトなどから逃げてきた、パレスチナ人の落ち着き先は、ヨルダンだった。つまり、実質的には既に、ヨルダンはパレスチナ人の、国家になっているということだ。だからと言って、ヨルダンをパレスチナ人の国にしてしまうことは、許されるべきではあるまい。
ナスラッラー師は『イスラエルはパレスチナの全てを奪い、ヨルダンをパレスチナ人の代替の地に、しようと思っている。』と語った。そのようなことを許さないために、ヘズブラは徹底抗戦の構えを、イスラエルに対して取っている、と豪語してもいる。ヘズブラはイスラエルとの戦争に、準備を整えている、とも言っている。
ナスラッラー師は『いかなる土地でも、われわれは攻撃に対して、反撃をする。』とも語っている。彼らは内戦を望んではおらず、国家の権力を掌握することも、望んでいないというのだ。
アメリカが中東に軍事進出しているのは、実はアメリカの同盟者である、イスラエルが弱体化してきているからだ、という判断だ。確かにイスラエルは、弱体化してきているだろう。何処の国も明確な敵によって、攻め込まれる不安が高い時は、それを払いのけるために、国民が一致団結して強くなれるが、いまのイスラエルには、これといった強敵はいないからだ。
他方、ヘズブラはといえば、混沌のレバノンのなかで、戦い抜いて生きて来ている。そこにイランからの武器や資金の支援もあり、内部は強固なものになっている、ということであろう。ヘズブラの武器のレベルは、相当イスラエルに近いものに、なってきているのではないか。また、ヘズブラはゲリラ戦では、イスラエルの数段上であろう、と思われる。
ヘズブラの盟友でありイランが『イスラエルは消滅する』と言っているのはそうした情況を見てのことであろうか。