『ハフタルの名演説?』

2020年5月25日

  ハフタル将軍は彼の名演説を、発したようだ。彼はそのなかで、オスマン帝国に抵抗しろ。勇敢に戦えと言っている、かつてリビアはオスマン帝国の、支配下にあったが、いまもトルコ政府が、我々を攻撃している。これを突きはねるのだ、と言ったのだ。

 この演説は多くのリビア人の民族意識に、火をつけるのではないか、と思われる。それだけ意味のある演説を、ハフタル将軍がいま行ったということは、ハフタル将軍側が厳しい戦況に、直面しているということであろう。ここに来て、ロシアとアメリカのリビア対応が、不明確になってきているからだ。

 ロシアはこれまで、ハフタル将軍側を支援して、傭兵を送り出していたが、どうも様子が変だ。アメリカもハフタル将軍側を、後ろから支援していたのだが、GNAつまりセラジ政権を、支持するような発言に、変わりつつあるようだ。

 こうなるとトルコにとっては、極めて有利な戦いになる、と思えるのだが、アラブ首長国連邦は相変わらず、ハフタル将軍側を支持し、武器や資金を出し続けている。もし、アメリカが本気で、ハフタル将軍側を叩く意志が、あるのであれば、アラブ首長国連邦はリビア問題から手を引き、ハフタル将軍側への支持は、止まるものと思われる。

 そうでないところを見ると、アメリカは早い停戦を望んでおり、ハフタル将軍に和平交渉に入れ、と言っているのではないか。その場合、国連が認めているセラジ政権の、顔を立てるということであろう。

 ロシアはというと、これも国連を通じての、交渉による和平を、望み始めている、ということではないのか。ロシアもこれまでの、ハフタル将軍側支持に投入した、武器や資金を無駄にしたくは、無かろう。

 トルコは半分胸をなでおろしながらも、アメリカやロシアを信用してはいまい。あくまでも、トルコ方式でリビアに対応し、ハフタル将軍側を打ち負かす、気持ちでいよう。いずれの国も、現在はコロナ問題を抱えており、充分なエネルギーを、リビアに投入する余裕は、無いのかもしれない。

 このような情況から、ハフタル将軍もラマダンのイード停戦や、和平への交渉テーブルに付く意志がある事を、ちらつかせ始めている。リビア内戦も相当時間が経過し、セラジ首相側も、ハフタル将軍側も疲れが出始めているのではないのか。

 そうした雰囲気が、リビア国内に広がれば、和平への動きは、一気に加速することもありえよう。それを望むばかりだ。

 そう言えば、ハフタル将軍がリビアの歴史的な英雄、オマル・モクタールの墓を、破壊したというニュースが、流れている。事実であるとすれば、その意味するところが分からない。あるいは敵側の偽情報かもしれない。

オマル・モクタールはイタリアの植民地支配に、抵抗したリビアの戦いの、中心的人物であり、カダフィ大佐は彼を主人公にした、映画を作ってさえいるのだ。デマ情報は西側諸国の得意とするところだ。