『危機的状況に陥ったトルコの銀行群』

2020年5月21日

 

 フィッチ社はトルコのハルク・バンクのレートを下げた。ハルク・バンクとはトルコの国立銀行であり、最も信頼すべき金融機関なのだが、そうではなくなっている。このハルク・バンクはイランの、マネーロンダリングに関与していたことで、アメリカが疑惑の眼差しを、強めていた銀行であり、そのアメリカ代表はまだ投獄されているはずだ。

 ハルク・バンクは外貨保有量が大幅に落ち、アメリカに狙われているのだから危険極まりないということだ。これに加え、ワクフ・バンク、ジラアト・バンクも危険水域にあると伝えられている。

 そもそも、トルコの各銀行が危険な状態になったのは、トルコの中央銀行が、トルコ・リラの下落を抑えるために、何十億ドルという大量のドルを、使ったことに始まる。トルコの企業も、トルコ政府の愚かな金融政策のために、リスクが高まっているのだ。

 こうした情況を改善するために、トルコ政府はカタールとの間で、スワップ合意を交わしている。2018年には30億ドル、そして2019年には50億ドルとなり、2020年には遂に、150億ドルにスワップは拡大している。加えて、トルコ政府はその他の国々とも、スワップ契約を交わしたい意向だ。

 ゴールドマンサックスもトルコについては、厳しい見方をしている。同社の報告によれば、ブラジルとトルコは最大のリスクを、抱えているということだ。コロナ・ウイルスの影響があり、加えて、トルコでは外国からの投資が、引いたこともあり、資金調達は苦しいものに、なっている。

 トルコ政府は金利を大幅に下げたが、効果はあるまい。外国の資金が逃げ出すということは、ますますトルコの金融事情を、苦しいものにしよう。トルコのリラは5月に大幅な下落を記録し、ドルに対し14パーセントも値を下げているのだ。

 フランスのパリバ銀行も顧客に対し、トルコとの取引を止めるよう警告している。トルコとの取引をやめたヨーロッパの銀行は、多数に上っており、トルコは世界の金融業界で信頼を失っている。

エルドアン大統領はこうした情況のなかで、トルコからの外国の外貨盗み出しの陰謀を、打ち砕いたと言っているが、トルコ・リラは今年5月7日には、1ドルに対し7,269リラまで下げている。

 トルこの中央銀行は、何十億ドルものドルを注ぎ込むことによって、この危機から逃れようとしているが、成功の見込みは無い。トルコも終りか?日本にもカネを借りに来るようだが、政府は間違っても、こんなでたらめな大統領の支配する国に、カネをつぎ込むべきではなかろう。