『リビア内戦は混乱の度を強める』

2020年5月21日

 リビアで始まった内戦は、その後周辺諸国の関与があり、西のセラジ政府と東のハフタル軍との、武力衝突が長引いている。セラジ政府側にはトルコとイタリアが味方し、そのトルコには裏にカタールが控えている。

 東のハフタル将軍側にはエジプトが控えており、それ以外にサウジアラビアやアラブ首長国連邦、そしてロシアやアメリカも控えているようだ。つまり、この内戦はいつの間にか、アラブ湾岸諸国の対立の影響を、強く受けるようになっているのだ、

 カタールとサウジアラビアと、アラブ首長国連邦が対立しており、そのことがリビア内戦に影響しているのだ。このためカタールは、トルコのセラジ政府支援に、軍事と資金提供支援をいるということだ。

西のセラジ政府を支援しているのは、結果的にトルコであり、イタリアであり、カタールということになり、これには国連も支持を寄せている、それはセラジ政府は国連の傀儡政権だからだ。他方、ハフタル将軍軍側はエジプト、アラブ首長国連邦、サウジアラビア、ロシア、アメリカ、フランスなどが、支援しているのだ。

 これでは武器も資金も潤沢にあっても、何の不思議もあるまい。武器と資金が潤沢にあるということは、戦争を長期化させるということだ。戦争の当事者たち、戦争が終われば、外国からの軍事と資金の援助は、受けられなくなるからだ。

 リビア国民は外国からの、援助の分け前は貰えず、生活は酷くなる一方だ。しかし、リビア国民にはそれを、世界に訴える術は無いのだから、困ったものだ。セラジ首相やハフタル将軍とは、別のリビア人を代表する人物が、登場しなければなるまい。

そこで出てくるのが、カダフィ大佐の次男サイフルイスラーム、ということになるのではあるまいか。彼は以前からそう言われながら、未だに表舞台に立っていない。このサイフルイスラームについては、セラジ政府側もハフタル将軍側も、暗殺を試みる気配は無い。両方ともこの先、サイフルイスラームは利用できる、と思っているのかもしれない。

 トルコにはカタールからカネが流れ込み、エジプトにはアラブ首長国連邦などアラブ湾岸諸国からカネが流れ込む。そうでもなければトルコもエジプトも、今頃は経済破綻していることであろう。

 しかし、そのカネは援助する側の国の、経済状態や関心が薄れていけば、止まるということだ。トルコの経済状態は悪化しており、フィッチ、ゴールドマンサックス、S&Pなどは最低の評価をしている。そこでトルコはカタールにカネの無心をし、スワップを三倍に拡大した、と報じられている。

 アラブ首長国連邦のリビア問題への、関心が薄れた時は、エジプトがトルコと同じような状況に、なるのではあるまいか。