『トルコが経済危機・資金枯渇』

2020年5月16日

 トルコが資金難で、経済危機に陥ったようだ。当然の帰結であろう。大オスマン帝国の皇帝にもなったつもりで、エルドアン大統領が無謀なことをしていれば、時間の問題で、立ち行かなくなろう。

 シリアとリビアで戦争を起こし、国内ではメガ・プロジェクトを、立て続けに実施し、加えて、コロナの蔓延を隠してきたのだから、当然であろう。シリアでは多くのトルコ兵がコロナに罹っていようし、戦争は長期化している。しかも何の戦果も上がっていない。

 本来ならば、東ユーフラテスの石油を支配し、国庫は豊かになっていたはずだ。自分の長男にやらせた、IS支配下の石油密輸では、儲かったろうが、アメリカがそれを押さえるようになり、トルコには利益が入らないようになった。

 シリア領土の略奪も、結局はうまく行っていない。トルコ国内のシリア難民追放のための、安全地帯計画など何処かへ、行ってしまった。エルドアン大統領が進める、シリア難民の追放策は失敗し、シリアでの戦争のために、逆にシリア難民は増え続けているのだ。

 リビアのセラジ政府と交わした、地中海征圧と海底石油ガスの、奪取も進んでいない、それどころか、多額の戦費が流れ出し、続けていよう。トルコがリビアに持ち込んだ、軍事物資やシリア傭兵への給与の支払いも、滞っている始末だ。そして、リビアでもコロナに感染したトルコ兵は、少なくないのではないか。

 こうした恥ずべき状況は、トルコ国内では報じられていないが、国民の多くが既に、知っていることであろう。そして、今回起こっている経済苦が、隠し切れない段階に入り、トルコ政府は外国からの、借り入れ交渉を進めている。

 トルコがいまカネを借りよう、と考えている国は、イギリス、中国、カタール、日本のようだ。もちろん、EUからの借り入れも、模索している。だが、EUはトルコは敵でありカネを出す、つもりは無かろう。カタールはアメリカ次第、ということではないのか。

 イギリスも台所事情は火の車であり、トルコに出したとしても、その額は微々たるものに、なるのではないか。中国もコロナの責任を、世界から追及され、その弁償を迫られている。その額は京の単位にもなる、と言われている。そんななかで、中国がもしトルコの要請に応えるとすれば、やはり形式的な額、ということになるのではないか。

 結果的に、トルコがいま一番期待している支援国は、日本ということになろう。日本は独裁国家であり、好戦国家であり、浪費国家にカネを出すのであろうか。もし、いま日本がトルコに資金援助をすれば、トルコ国民は一方で大歓迎しながらも、エルドアン大統領の独裁体制の延命に繋がるとして、日本を恨むことになるのではないか。

 アメリカの名前が援助要請国のなかに、入っていないのはアメリカが既に、エルドアン大統領を見限ったからであろう。この時期にトランプ大統領は、トルコで行っていた、F35戦闘機の、部品生産を止める、と言っているのだ。

 トルコの外貨準備高は400億ドルから今年260億に減っている。そして対外債務高は、1680億ドルに達しているのだ。いままで、外貨を稼いでいた観光産業も、コロナで壊滅的なダメージを受けており、50億ドルの金が入らなくなっているのだ。

 日本政府に強く要請したいのは、こんなデタラメな独裁国、好戦国、浪費国にはカネを貸して欲しくない、ということだ。エルドアン体制が終り,トルコ国民が真面目に国家を運営するときに、その建て直しになるカネは、貸すべきであり、それが長期的な日本とトルコの関係を、より強固なものにしていくのではないのか。