去る木曜日、シナイ半島北部のビール・アベド市で、IS(ISIL)による攻撃が起り、エジプ露軍兵士8人、下士官1人、士官1人が死傷した。当初犯行声明は何処からも出てこなかったが、後にIS(SIL)が金曜日に、犯行声明を出している。
これまで永きに渡り、エジプト政府はシナイ半島北部での、テロリスト掃討作戦を実行してきたが、いまでもこうしたテロが、起こるということは、まだエジプト軍のテロ掃討作戦は、終わっていないということだ。
シナイ半島はいわば、エジプト領土でありながら、政府によって放置されてきていた地域だ。政府はシナイ半島北部の住民に対して、特別な援助をしてこなかったのだ。そのため、シナイ半島北部の部族は、エジプト政府よりも、その時々この地域で活動する、テロリストや密輸業者と、手を組んできていたのだ。
ガザのパレスチナ人、カダフィ時代に集められた、大量の武器をリビアから、密輸する業者、そしてIS(ISIL)という具合にだった。そうすることによって、シナイ北部の部族は、生計を立てていたのだ。それに変化が生まれたのは、エジプト政府が部族を抱き込んで、IS(ISIL)やテロリスト、密輸業との関係を切らせたときからだ。
しかし、多分に部族民に対する援助は、それほどでもなかったのかもしれない。そのため、テロリストと部族民との関係は、薄くなってはいても、完全に切れたわけではなかったのであろう。
エジプト政府にも軍にも、部族民を完全に抱き込むほどの、資金は無かったのではないのか。部族民はシナイ半島北部でのテロリストや密輸業者の動きについて、細かい通報を、エジプト軍にしていなかったものと思われる。
今回は路肩爆弾による攻撃だったようだが。この程度のことは、部族民に分からなかったはずはない。