『ISの攻撃がシリア・イラクで復活』

2020年5月 8日

 IS(ISIL)のイラクでの攻撃が、復活しているようだ。それはイラク政府の政治力の低下と、治安の弱体化によるもののようだ。イラク軍はコロナ・ウイルスの拡大で、軍を撤退させているからだ。

 コロナ・ウイルスはバグダッドでも、南部地方でも拡大傾向にある。加えて、イラクでは昨年10月から、生活状態の悪化と汚職に抗議する、デモが続いてもいる。アブドルマハデイ首相が辞任以来、昨年の10月から496人が殺害され、17000人が負傷している。

 イラク各派はテロの横行を許しており、加えて、イランのIRGCによる、アメリカ軍への攻撃があり、次いでIRGCのスレイマーニ司令官が、アメリカ軍のドローンで、殺害されたことも続いている。この暗殺時には、イラクのハシド・シャアビの、アブマハデイ・ムハンデスも暗殺されている。

 こうしたことが重なり、IS(ISIL)に行動の余地を、開いたのであろうと思われる。コロナのため、イラク各地では外出禁止令が発令され、アメリカ軍が6箇所の軍事基地を、放棄してもいる。

 アドナン・ニーメ退役将校は、イラク政府とクルド自治政府との、協力関係が弱体化したことも、不安定化の原因だと語り、IS(ISIL)に台頭の余地を与えた、と説明している。軍にはIS(ISIL)に対抗出来るだけの力は無いが、それは資金の問題もあるからだ、ということだ。

 キルクーク、モースル、サラーハッデーン、デヤラは、不安定化の度を増している。他方IS(ISIL)側は、アンバル、デヤラ、キルクーク、サラーハッデーン、モースルで強化されている、ということのようだ。

 シリアの場合は、政府軍の将兵がIS(ISIL)の攻撃で、11人が死亡している。これはデルズールで起った、武力衝突の結果だ。IS)ISIL)側にも死者は出ているが、ホムスのシューラ、ソフナそしてデルズールで、戦闘が展開されている。

 イギリスに本部を置く監視機関のラーミー・アブドルラハマンは、今後犠牲者が増えていこうと予測し、シリアでもIS(ISIL)によるゲリラ攻撃が、継続すると語っている。それらにより、いままでに犠牲になった政府軍側と、政府寄りミリシアの犠牲は、27人にものぼっているということだ。

 コロナの蔓延、政府職員の汚職、などによる庶民の苦しみと、その結果の庶民からの非協力が、響しているのであろう。