『トルコいろいろ・いい話はない』

2020年4月17日

  トルコから伝わってくるニュース、このところいい話はほとんど無い。ニュースは皆、トルコがいま問題を抱えていることを、示すものばかりのようだ。コロナの患者は増え続け、死者も増えているが、政府が発表する数字は、信用出来無い。

加えて、シリア戦線からは戦死者の報告が続いているが、正式には合計何人が戦死したのか、発表が無いようだ。リビアからは全く戦況が伝えられていないが相当数の犠牲者が出ていよう。

 トルコのコロナ罹病者数は、74193人死者は1643人ということだ、多分その倍は犠牲になっていよう。観光立国の言うことに加え、農産品輸出国としては、コロナ蔓延のニュースは、大きなマイナス・イメージになってしまうから、数値をごまかしているのであろう。もちろん国内政治の上でも、不味いだろう。

 このコロナの問題で、強硬措置をとったソユル内相は、国民に与えたショックが大きかったことから、辞任を発表したが、これも新たな危機的状況を、トルコ政界にもたらしている。

 ソユル内相は厳格だが、それが国民の信頼を得ており、将来の大統領候補と見なされているからだ。ババジャン財相やダウトール首相など要職経験者が、与党AKPを離脱し、新党を立ち上げている中で、もし、ソユル内相が与党AKPを離党し、新党を立ち上げることになれば、与党は崩壊するだろう。

 与党党員のなかには、既に動揺が生まれており、与党は分裂一歩手前という噂が、広がっているほどだ。それであせったエルドアン大統領は、ソユル内相辞任引止めをしており、正式に辞任は認めないといってもいる。

 そうした国内政治の混乱、コロナの蔓延などもあり、トルコ経済は振るわず、どんどんトルコ・リラ 安が進行し、遂に最低のレベルに至っている。いまでは1ドルが6,91リラで、瞬間風速としては1ドルが76,28リラに達しているほどだ。

 しかも、トルコと欧米との関係も、悪化していることから、欧米によるトルコ経済引き上げの手は、差し伸べられまい。唯一の頼みの綱は、カタールだろうが、カタールもトルコと心中する気はあるまい。万事窮すとまでは行かないとしても、相当厳しい情況ではないのか。