『トルコがシリア・ミリシアに給与未払い』

2020年3月18日

 トルコがシリアのスンニー派が構成する、FSAの戦闘員を各所で活用していることは、よく知られている。その典型はリビアへの派兵であろうか。しかし、リビアに派兵された者のなかには、リビアでの戦闘に加わるのではなく、ヨーロッパ行きを始めから、目的としていた連中もいる。

 シリアの国内で戦闘を継続する、FSAメンバーも当然いるのだが、これまでFSAの戦闘員はトルコ軍の補助役として、立派にその役割を、果たしてきていた。この、シリアのFSAの戦闘員に対しては、トルコ政府は武器を供与し、給料も支払ってきていたのだ。

 ところが給料の支払いで、問題が起き始めたようだ。遅配なのか未払なのか分からないが、FSAの戦闘員たちはトルコ政府が、給料を支払ってくれていない、と騒ぎ始めたのだ。

 3月の5日にはトルコが支配する、カフィフィ地域でFSAのメンバーが騒ぎ始め、他のグループと給料の支払いを巡り、戦闘というか銃撃にまで、至ったようだ。

 これを阻止すべく、トルコ軍が割って入ったが、根本の問題である、給与の支払い問題が、解決していないのであろうから、今後もトラブルは続く、ということであろう。

 数日前にトルコの支援する、シリアのミリシアがM-4高速道路を封鎖したのは、ロシア軍の補給を阻止するためであり、それはトルコ軍の裏からの指示であったろうといった内容の、ブログを書いたが、これは完全に勘違いだったということだ。

 抗議行動をしている、FSAの戦闘員たちは、高速道路でタイヤを燃やしたりしている、ということだ。これは当分続くものと思われる。しかし、トルコ政府も形無しではないか。

 トルコの経済状態が悪い、という報告は、何度も書いてきたが、最近はその程度が、相当きついということであろう。もし、給与の支払いがまだ遅れるのであれば、トルコはFSAの戦闘員をシリアでも、リビアでも使えなくなる、ということだ。

 金の切れ目が縁の切れ目、とはよく言ったものだ。どうせ給料は、高額ではなかろうから、シリアの戦闘員たちは、給料が支払われなければ、たちまちにして生活苦に陥ろう。彼らには家族がいるのだから。