『シリアのハイウエー争奪戦トルコ、ロシア、シリア軍』

2020年3月17日

 トルコが支援する、シリアのミリシア部隊が、攻勢に出ている。その場所はシリアのラタキアとアレッポを繋ぐ、ハイウエーだ。この作戦はいったい何を意味しているのか。

 簡単に言ってしまえば、シリアの港町であるラタキアは、タルトース港と並ぶ、ロシアの海軍基地でもある。そのラタキアとアレッポを繋ぐのが、M-4ハイウエーだ。

 このハイウエーをトルコが支援する、ミリシア部隊が抑えるということは、述べるまでもなく、ロシア軍の動きを、抑える効果があろう。前線には軍事物資の輸送が重要であり、食料も必要であろう。

それらのものを、ラタキア港から前線に運ぶ上で、M-4ハイウエーは重要だった、ということだ。つまりこの作戦は、トルコを支援する、ミリシア部隊の作戦というが、実はトルコ軍の命令による、作戦であったろう。

ロシア軍は合同パトロール上、ミリシアが民間人を、人の盾として使っており、迂回の必要もあると言っている。少なくとも、これでロシア軍はトルコの意向を、無視した形での進軍は、やり難くなった、ということではないのか。

その程度のことは、ロシア側も分かており、今回のミリシア部隊を使った作戦は、トルコのロシア離れを、鮮明にしたのではないか。そうなると、今後ロシアはトルコに対し、敵対的になり、一矢報いる機会を狙うのではないか、と思われる。

アメリカに援軍を申し出ているトルコは、NATOのメンバー国ということもあり、NATOに対しても援軍を要請している。しかし、アメリカもヨーロッパ諸国も、いままでの段階では、トルコを支援する意向は、無いようだ。

トルコ軍はシリアで思いのほか、苦戦を強いられているのかもしれない。コロナの経済的ダメージの大きさ、そのことによる、トルコの観光産業の、受けたダメージなど、トルコにとっては極めて厳しい、時期なのかもしれない。そういえばリビアからも、朗報は届いていない。