イランとサウジアラビアが緊張関係にあることは、既に広く知られていることだ。ところがここに来て、その緊張が緩みだしているのではないか、と思われる。その原因はなんとコロナ・ウイルスの、蔓延によるようだ。
イランではコロナ・ウイルスがクムに始まり、首都のテヘランでも拡大している、という情報が伝わってきている。BBCの伝えるところによれば、イランでコロナに罹って死亡した人の数は、210人と報じている。これに対し、イラン政府はそれは嘘で、コロナの死者は43人とか26人とかと言ったり、それ以下と言ったりしているようだ。
これではイラン国民は、政府発表を信用できなくなり、ますます不安が高まっていることであろう。そうなるとイランのような国では、たちまちにして、反政府デモが始まる、危険性があるのだ。
イランには今のところ、コロナ対策方法はなく、多数が集まることを、禁止するだけであろう、例えば金曜の礼拝を、禁止し始めているのだ。イランの南東部には、コロナに罹った患者が収容されている、という情報もあリ、不安を募らせている。
こうした情況が続けば、イランでは体制崩壊の危険に、直面する危険性があるため、政府関係者は何とか沈静化しよう、と考えるのであろう。例えば副大統領が罹患したとか、大使が死亡したということも事実ではなく、国民に誰もが危険に直面している、と訴えたいからであろう、という推測も流れている。
こうした状況下では、サウジアラビアとの間で起こっている緊張も、そっちのけになってきているのであろう。そのサウジアラビアですら、アコロナは大問題になっている。イスラムの宗教行事である小巡礼(オムラ)を、禁止する措置がとられているのだ。
オムラの禁止については、一部学者たちがサウジアラビアは、危険ではないから禁止すべきでない、ということを主張しているが、それは何の科学的な根拠もない、発言であろう。今年のハッジは8月だと思うが、その時期にはコロナが、沈静化しているのであろうか。
そうでなければ、イスラムの5柱の一つであるハッジが、中止されることになり、これはサウジアラビアとしては、何としても避けたいことであろう。もし、サウジアラビア政府がコロナ問題を、解決できなければ、世界中のムスリムがサウジアラビア政府を、非難する危険性があるのだ。
サウジアラビア政府もイラン政府同様に、いまコロナという大きな問題と、直面しているということだ。それがイラン・サウジアラビ関係の緊張緩和、そして協力関係になっていくのであれば、コロナも役に立つのだが。