『サウジ皇太子G20までに国王​即位計画』

2020年3月10日

 サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子(MBS)は、今年後半に予定されている、G20会議までに国王に即位することを、計画しているようだ。これまで起こった王室メンバーの、大量逮捕は実は、そのステップだというのだ。

 これまで多くの王子たちが、逮捕されたのは、そのなかに元皇太子や国防大臣なども含まれているが、これは近くあるであろう、サウジアラビアの王位交代に合わせたものだ。

 現在のサルマン国王は84歳と言われ、大分ボケが進んでいる、と言われている。そのために、ムハンマド・ビン・サルマン・サウジ皇太子の進めようとした、サウジアラビア大改革が、進んでいないというのだ。だがそれは必ずしも、正確ではないかもしれない。

 成果を急ぐムハンマド・ビン・サルマン皇太子の政策は、多くのミスを生み出してきている。サウジアラビア最大の企業アラムコの、株の一般販売では、その前に石油施設攻撃を受けたこともあり、株価は皇太子が望んでいた額には、至らなかった。

 イエメンへの出兵もしかりだ。これまで5年にも及ぶのだが、弱小のイエメンの、粗末な武器を相手に勝利を得ず、毎年50億ドル程度の戦費を費やしているが、未だに勝利は見えてこない。

 それどころか、イエメン戦争ではイエメン側が、優位に立ってきているようだ。なかでもホウシ派の攻勢には、厳しいものがある。彼らはサウジアラビ・イエメンの国境地域で、サウジアラビア側に激しい攻撃を、加えているのだ。

 シリアなどへの介入も、相当額を費やしていると思われるが、しかるべき成果は上がっていない。それどころか、サウジアラビアを嫌悪する国が、同アラブ諸国のなかで、増えているのではないのか。

 国内では女性の解放、といった政策は打ち出されたが、サウジアラビア国民はそれを、歓迎していないようだ。女性の一部にはそれを、歓迎する者たちもいるが、大多数は保守的な考えであり、女性すらも歓迎していないのだ。

 そうした実情を理解せずに、サウジ国王がぼけた、自分の立ち場が危なくなるとして、王室メンバーの大量逮捕に動き、その結果として、サウジアラビアの国王として、G20会議に参加するというのは、馬鹿げた妄想であろう。

 ムハンマド・ビン・サルマン皇太子の焦りは、結果的に彼の首を絞めるのではないか。王子たちを逮捕しても、彼らの右腕は存在するわけであり、クーデターを防ぐことはできまい。王子たちはサルマン国王の健康状態を、細かく観察しているのであろう。