イランのロウハーニ大統領は、辞任を希望しているということだ。どうもイランの最高指導者である、ハメネイ師との関係が悪いようだ。ハメネイ師は強硬派であり、そのボデー・ガードとして、革命防衛隊(IRGC)を使っている。
ハメネイ師は国民福祉より、この自分のボデー・ガードである、革命防衛隊に対し、大幅な予算を組んでいるのだ。他方、ロウハーニ大統領は穏健派の代表であり、国民福祉を最優先している。
2月21日に行われた国会議員選挙でも、ハメネイ師とロウハーニ大統領との間には軋みが生じていた。ハメネイ師は自分の支持者を増やすために、議員候補の選別を行い、穏健派、民主派を14444人も候補者リストから、外しているのだ。
この結果、選挙で当選した議員は、7割が強硬派、つまり、ハメネイ師支持者であり、3割が穏健派ということになった。当然この結果に、ロウハーニ大統領は激怒したことであろう。これを放置したのでは、ロウハーニ大統領は国民との約束を、果たせ無くなるからだ。
ロウハーニ大統領とハメネイ師の、立ち位置の違いは、いまに始まったことではない。2013年に最初に大統領に当選した時から、両者の間には軋轢が生じており、当選から1月後に、ロウハーニ大統領は辞任を、言い出している。
今回の辞任希望は、昨年11月に始まった、ガソリン値上げに対する、国民の抗議デモ以来、イラン国民の間には経済苦もあり、不満が高まっていたからであろう。
そして、今回の選挙では、明らかな政府というか、ハメネイ師の介入があり、国民が期待できる穏健派は、ほとんどが立候補段階で、はじき出されたことだ。これでは近い将来、イラン国民による政府に対する、抗議デモが繰り返されることは、ほぼ確実であり、その時はロウハーニ大統領が、非難の矢面に立たされる、危険性があろう。
加えて今度は、コロナ・ウイルスのイラン国内での、拡大が起こっている。イランの宗教都市クムでは、50人が死亡したというニュースが流れている、実際は50人ではなく、15人という情報もあるが、コロナが拡大していることは事実だ。
このため、イランからコロナが移ってくることを警戒し、トルコ、イラク、クウエイト、バハレーンなどは空路を閉鎖し、また陸路を閉鎖している。加えて、つい最近にはトルコ・イラン国境地域で、地震が発生し死傷者が出ている。踏んだり蹴ったりというのはこのことか。