『トルコなロシア製ミサイルでロシア機を撃墜するのか』

2020年2月22日

 トルコのアカル国防相は、トルコが近くロシア製ミサイルS400を、実戦配備し、使用できる体制に入る、と語った。そこで問題になるのは、トルコはこのミサイルを使って、何処の国の戦闘機を、撃墜するつもりなのか、ということだ。

 現状では、トルコはアメリカとは、そこまでは緊張していないが、ロシアとはイドリブ攻防をめぐり、意見の対立が目立ってきている。つまり、いまトルコがS400ミサイルを発射するとすれば、ロシアの戦闘機か、シリアの戦闘機が、その攻撃対象ということになるのだ。

 そこで問題になるのは、ロシアがトルコに輸出したS400ミサイルが、ロシアが使用するものと同じ性能なのか、ということだ。そのことはミサイルを発射すれば、すぐにわかろう。通常では同じものではなく、グレードを落としたものを、他国には輸出するといわれている。

 もし、ロシアがそうしているのであれば、ロシア製武器に対する、信用は下がろう。しかし、同等のものであれば、ロシア軍にとっては極めて危険な、情況が発生するということだ。もちろん、シリア軍機に対して、発射されるのであれば、問題はあるまい。

 トルコが虎の子のS400期サイルを、持ち出してきたということは、シリアのイドリブでのトルコ軍の情況が、緊張してきている、ということではないのか。トルコのエルドアン大統領は、すべての武器を使って、イドリブ対応を行う、と言ったばかりだ。

 もし、実際にS400を使って、その効果がそれほどでもないとなれば、アメリカは大喜びするだろう。トルコはこの期に及んで、アメリカからパトリオット・ミサイルを買いたい、と言い出しており、それにアメリカ政府は、前向きなようだ。

 トルコはいま世界的に進んでいる、ロシアのS400ミサイルと、アメリカのパトリオット・ミサイルを使うとなれば、大変な実験が行われる、ということであろう。果たしてそうなるのか、あるいはそうなった場合、アメリカのミサイルの性能が上か、ロシアのミサイルの性能が上か、ということが明らかになろう。

 高見の見物をしている分には、極めて面白い展開、ということになるのだが、現場の兵士たちにとっては、命がかかっている大変な事態であろう。戦争では兵士が戦死するのは当たり前のことのように、言われているが、そう簡単にそんな展開には、なっては欲しくない。

 一国の元首の面子が、多数の人たちを犠牲にするのだから。そして兵士以外にも、イドリブからは多数の難民が輩出され、それはトルコに多くの難問を、もたらすことになるのだから。