『中東短信』

2020年2月20日

 

 今日はこれと言ったニュースはない、それでは中東が、落ち着いているのかというとそうでもない、トルコはシリアでの本格的な、軍事攻勢に出るつもりでいるし、リビアはセラジ首首相が、ミユンヘン会議をボイコットしている。

 イスラエルではパレスチナ人受刑者への、食事を減らすことを決めたということだ。パレスチナ関連ではトランプ大統領の、世紀の和平案はパレスチナ人を、イラクに押し付けるものだ、とイラクの首相が言い出している。

 トルコは大量の武器を、シリアのイドリブに搬入し、本格的戦闘に備えている。トルコ兵の数も、4000人が増強されたということだ。これは、ロシアとトルコとのシリアをめぐる話し合いが、合意を見なかったことが、原因しているようだ。

 だが、それだからと言って、イドリブの住民を犠牲にしていい、という理屈はあるまい。いまでも50万とも70万人ともいわれる、シリアの難民がトルコに逃れているのだ。シリア難民のトルコでの数は、既に400万人を超えている。

 トルコが戦闘を拡大する度に、トルコに流れ込むシリア難民の数は増え、トルコ政府は難民対応で、莫大な資金を投入しなければならなくなる、ということだ。その難民問題では、トルコ政府はシリア北部に、安全地帯を創り、そこに難民を押し返すつもりでいたが、ばかげた考えだったと思う。

 トルコの市街地で暮らしていた、シリア難民が何もない荒漠たる砂漠、今では雪原に住もうとするはずが、無いではないか。シリアの砂漠に逃れた、難民の子供たちのなかには、寒さのために死亡する者が、出ているのだ。

そこには病院も学校もしゃれた住居もないのだ。そして食糧さえ、配給されなければ無いということだ。賢いシリア人だから何年か後にはそこも間珍味代わるだろうが、それまでの間は地獄の苦しみであろう。

 トルコは政策がエルドアン大統領の、直感で決められる。彼がどんなに天才的な政治家であっても、難問山積にいちいち効果的なアイデアが、浮かぶはずはあるまい。

 結果的に、トルコはシリア対応でも、リビア対応でも、墓穴を掘っているのではないのか。